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物流アウトソーシングの役割とは?種類やメリット・デメリットを紹介

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物流アウトソーシングの役割。メリット・デメリット

EC通販事業に参入し、事業規模を拡大していくにあたって、大きな課題になるのが物流業務への対応です。取扱商品数が少なく入出荷の頻度も少ないうちは、自社での物流業務対応も可能ですが、事業拡大で注文数や取扱商品数が増え、入出荷の頻度が高まると、物流機能の維持にかかる負担が増大してしまいます。

物流業務の負担が過大だと感じ始めたときに検討したいのが、物流アウトソーシングです。

本記事では、物流アウトソーシングの役割や委託できる業務、メリット・デメリットなどについて解説します。併せて、料金体系による分類や業者選定時のチェックポイント、アウトソーシング導入時の流れについても見ていきましょう。

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物流アウトソーシングとは

物流アウトソーシングは、自社の物流機能を専門の代行会社に委託することです。

物流アウトソーシング(写真はスクロール360)

一般的には、自社内の空きスペースで在庫を管理することが難しくなってきたタイミングや、倉庫を借りていても社内の人材による倉庫業務や在庫管理に限界を感じたときに検討することがほとんどです。

自社物流のまま事業を拡大しようとすると、大量の在庫を保管できる大規模な物流センターや、在庫管理担当者、物流用のトラックなどを自社で用意しなければならず、莫大な投資が必要です。

一方、物流をプロにアウトソーシングすることで、人件費や多額の設備投資を費やすことなく保管スペースと管理の人手を確保できるだけでなく、代行業者の専門的なノウハウを活かした物流作業によって、業務の質を向上させることもできます。

物流アウトソーシングの役割

物流アウトソーシングの役割は、代行業務を行う企業が物流、およびそれに付随して必要となるサービスを一手に引き受け、クライアントの負担を軽減することです。

物流アウトソーシングの役割(写真はスクロール360)

委託できる業務は、入出庫管理、在庫管理といった基本的なプロセスをはじめ、
検品、返品、棚卸、決済、梱包、発送など、受注してから商品を消費者に届けるまでの一連の業務すべてです。

企業によっては、受注処理やカスタマーサポートなど、物流に付随する業務まで代行します。ここでは、物流アウトソーシングで代行可能な業務について、詳しく見ていきましょう。

入荷・入庫(棚入れ)

入荷・入庫(棚入れ)は、物流業務のスタート地点となるものです。それぞれの作業内容は下記のとおりです。

入荷

仕入れ先や拠点から、商品や荷物が届くことを入荷といいます。入荷を管理する人は、注文内容と入荷した商品が合っているかどうかを確かめます。

入庫(棚入れ)

入荷した商品について、自社の倉庫のどこに、どの数量を保管するのかを決め、商品の分類ごとに棚に収めるのが入庫(棚入れ)です。

入庫と棚入れは、同じ意味の用語として理解されています。数量や重さのある商品の積み下ろしは、プロのノウハウや機材を用いなければ困難な作業です。アウトソーシングすることで、専用の機材やノウハウのあるスタッフによって、これらの作業が速やかに行われます。

検品・セット組

検品は、商品の機能性や品質、数量の過不足などについて検査することです。
セット組は、複数の商品をひとつにまとめて管理するための作業です。

いずれも、商品の品質に大きく関わる重要な工程で、慣れない人が行うと時間がかかるだけでなく、見落としや品質劣化の可能性があるため、物流のプロにアウトソーシングしたほうが効率的な場合が多いでしょう。

在庫管理

在庫管理(写真はスクロール360)

入荷した商品が出荷されるまで品質を適切に保持したまま、在庫数を適正な範囲内に保つことが在庫管理です。

保管に適した環境は商品によって異なるため、品質管理の面において商品に適した保管が難しくなってきた場合は、物流アウトソーシングが選択肢に入ります。

また、在庫をリアルタイムで把握することは、在庫切れによる販売機会の逸失や余剰在庫による経営への悪影響を防ぐ上で欠かせません。自社で十分な管理体制が構築できない場合は、プロに在庫管理をアウトソーシングするのもひとつの手段です。

帳票発行

物流にまつわる帳票には、入荷伝票・出荷伝票・ピッキングリスト・送り状・納品書などがあり、倉庫内では出荷指示があった際に保管している在庫を引き当て、これらの帳票を発行することになります。

発行した帳票を倉庫のスタッフに渡して出荷準備が始まるため、出荷指示に対して正しい商品をピックアップして間違いのない帳票を組み合わせることが重要です。この点、物流アウトソーシングでは専用機器を用いるなど正確な作業が行われます。

ピッキング・流通加工・梱包

梱包ラッピング(写真はスクロール360)

出荷指示のあった商品を棚から取り出す
ピッキング、チラシ同梱・熨斗・ラッピングなどを行う流通加工、注文内容に合致していることを確認して発送できる状態にする梱包までの一連の作業は、出荷前の最終段階に位置する作業です。

流通加工と梱包には多くの資材が必要になるため、物流アウトソーシングをすることでコストを抑えられる場合があります。

出荷

商品を消費者に向けて発送するのが出荷です。梱包された商品に問題がないこと、出荷先が正しいかどうかを確かめながら作業します。

運送には当然ながら費用がかかりますが、多くの企業からの物流アウトソーシングを担う代行業者は運送会社と特別な運賃で契約していることが多いため、費用負担を軽減できる可能性があります。

返品処理

返品が発生した場合に、商品の状態を調べて再販できるかどうかを判断するのが返品処理です。商品の出荷までだけでなく、返品処理に対応している代行業者もあります。

棚卸

決算などのタイミングで行うのが、すべての商品の在庫数を正確に把握する棚卸です。
棚卸の結果、帳簿上の商品数と現物として確認できる商品数に差異がある場合、入荷から出荷までのいずれかのタイミングでミスがあることになります。

在庫数や商品の種類が多い場合は、棚卸にかなりの時間と人員が必要です。棚卸も代行業者に委託できるため、アウトソーシングすることで精度向上が期待でき、棚卸に割いていた人員をほかの業務に割り当てることもできます。

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物流アウトソーシングのメリット

物流アウトソーシングのメリット(イメージ)

物流アウトソーシングでは、上記のように物流に関連する幅広い業務について代行を依頼することが可能です。

これらの業務を外部に委託することで生じるメリットを整理すると、下記の5つにまとめられます。

コア業務への人員集中

物流業務に自社の人員を配置すると、その人員は物販ビジネスにおいて最も重要な
「新しい商品の企画」「既存商品のブラッシュアップ」「販売方法の再考」
といったプロセスに注力することが難しくなります。

物流業務は、それらのコア業務を担当しながら兼務できるほど簡単なものではありません。
物流機能をアウトソーシングすることで、従業員をコア業務に集中的に配置できます。

物流コストの削減

自社物流の場合、固定で発生する人件費や保管費などの物流コストが経営を圧迫します。
物流業務をアウトソーシングすることで、これらの費用を変動費化することが可能です。

物流アウトソーシングでは、扱う商品数や作業量に応じて費用が決まることが多いため、閑散期は費用を抑えられ、総合的に見ると物流コスト削減につながるケースもあります。

品質向上によるCRM強化

煩雑でミスが出やすい作業をプロに一任することで、物流が効率化・高速化します。

誤出荷や品質の管理ミスなどを削減できれば、企業に対する消費者の信頼を高め、好印象につなげることも可能です。CRM(顧客関係管理)が強化されることで、継続的な購入や、新規の顧客獲得につながる良い口コミの拡散も期待できるかもしれません。

一時的な需要増(波動)にも対応できる

世の中の変化や、メディア・SNSによる流行などで一時的に注目度がアップした場合、急激に需要が増加すること(波動)があります。

自社物流ではこのような場合、社内のリソースを融通する、あるいは短期アルバイトを急募集するなどして対応するしかありません。そのような急場しのぎの対応では、結果的に物流品質に問題が生じてトラブルやクレームが発生してしまう場合もあります。

物流アウトソーシングによって、専門知識を持った豊富なスタッフが需要増にも適切に対応し、平常時と同じサービスの質を維持しながら消費者の注文に応えられるので安心です。

変化する世の中のニーズにも対応できるようになる

世の中のニーズが変化しつつある場合でも、それに対応した新たな物流設備への投資に踏みきるのは難しいことがほとんどです。スペースの問題から、新たな設備を導入できないケースもあります。

その点、物流代行業者は、多くの企業の依頼に応じるために最新の物流設備を導入しており、常に高品質な物流を実現できる状態を維持しています。業界のトレンドや最新情報にも精通しており、現状に即した最適な解決策を提案してもらうことが可能です。

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物流アウトソーシングのデメリット

物流アウトソーシングのデメリット(イメージ)

メリットの多い物流アウトソーシングですが、デメリットがないわけではありません。具体的には下記のようなデメリットがあるため、メリットと併せて検討が必要です。

対応しているサービスが限られる場合がある

取り扱いに際して専門知識が必要な商品の場合は、アウトソーシングすることによって
「検品の質が低下する」「梱包に手間がかかりコストがかさむ」
などの問題が起きる可能性があります。また、ミス発生時の責任が重大になりえる業務の場合は、対応自体を断られるケースもあるという点には注意が必要です。

さらに、特殊なラッピングや手書きのメッセージカードの同梱など、担当者によって品質に差が出る業務も依頼を断られるケースが少なくありません。

工数がかかる特殊な業務を依頼したい場合は、事前に十分な打ち合わせが必要で、追加コストが発生する可能性も認識しておく必要があります。

必ずしもすべての業務を委託できるとは限らない

代行業者によって、対応しているサービスの範囲は異なります。

物流プロセスを一括して委託できる業者もあれば、一部の業務にしか対応していない業者もあるため、委託したい業務に対応しているかどうかは、必ず確認が必要です。専門知識や取扱免許を要する商品の組み立てなどは、自社で対応せざるをえないこともあります。

業者選定が難しい

EC通販事業者の増加に伴い、アウトソーシング先となる物流代行業者も増加しています。
これにより、自社に合ったサービスを選べるようになった反面、最適なアウトソーシング先の選定に手間がかかるようになりました。

扱っている商品や事業規模によって最適なアウトソーシング先は異なるため、
「競合他社が導入しているから」「費用が安いから」
といった理由で安易に選ぶことは避けるべきです。

まずは自社の課題を洗い出し、その課題に対応できるアウトソーシング先候補を選定し、選定した業者とは綿密に打ち合わせをした上で、自社に適した業者を決定する必要があります。

自社にノウハウが蓄積しない

物流アウトソーシングによって、物流の質が高まる一方、自社にはノウハウが蓄積しません。今後もアウトソーシングを活用し続ける場合は問題ありませんが、
「将来的には自社で専用の部署を設けて、物流業務を内製化したい」
と考えている場合は、デメリットになる可能性があります。

物流アウトソーシングの種類

物流アウトソーシングは、料金体系やサービス内容の違いによって分類することができます。基本的には下記の2つに分けられるため、予算を踏まえて自社に適したサービスを選びましょう。

定額系物流サービス

定額系物流サービスは、提供されるサービス内容と料金が予め設定されています。そのため、自社に合ったサービスを見つけやすく、事前の打ち合わせも複雑になりません。

しかし、設定されているサービス以外の業務を依頼するのは難しいため、稼動開始した後から
「この業務にも対応してもらいたかった」といった事態になっても、柔軟な対応をしてもらえない可能性があります。

自社に必要なサービスが明確になっていない場合は、まずは定額系物流サービスを利用して必要な機能を確かめてから、カスタム系物流サービスに移行するのも1つの方法です。

カスタム系物流サービス

カスタム系物流サービスでは、自社に必要な機能、強化したい機能を選別して、サービスをカスタマイズできます。自社の理想に近い効率的な物流サービスを実現できる分、希望するサービス範囲やカスタマイズ内容、運用方法などによって料金が変わるため、場合によっては大きなコストになることもあります。

また、金額の算出や運用体制の確立に時間がかかるため、カスタム系物流サービスを検討する際には早めに複数社の見積もりを取り、予算に応じて比較・検討することが大切です。

まとめ:早めの物流アウトソーシングで業務拡大に備えよう

物流アウトソーシング(写真はスクロール360)

EC通販事業を運営する上で欠かせない物流業務には、大きな手間とコストがかかります。
この負担は事業が成長するにつれて増大していくため、創業期から物流アウトソーシングを利用して、さらなる事業拡大に備えていくことがおすすめです。

ただし、取り扱う商材や市場の動向、抱える物流課題、資金繰りなど、状況によって最適な選択は異なります。自社の経営状況や今後の方針を踏まえて、柔軟に判断しましょう。

当社では、各企業の課題に応じて、物流アウトソーシングを利用すべきか否かも含めた適切なアドバイスを行っております。物流業務のアウトソーシングを検討中の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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