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物流 物流 (改善 / 効率化)

物流倉庫移転・移管マニュアル/重要ポイントやスケジュールの立て方をご紹介

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物流倉庫の移転は、いろいろなタスクが同時に進行する複雑なプロジェクトです。事業規模や、業務に関わる人員が多くなればなるほど、移転スケジュールも複雑化し、連携や調整が重要になります。

ここでは、
倉庫移転の手続きやスケジュールの立てかた
スムーズに移転を進めるためのポイント
など中心にご紹介していきます。

スケジュールを時系列ごとに、注意点や押さえておくべきポイントもご紹介しますので、物流の委託先変更をご検討の際には、ぜひお役立てください。


初めての倉庫移転の不安を解決!やるべきことを把握しよう

移転期間は最短3ヵ月、逆算してスケジュールを立てる

倉庫移転はさまざまな作業タスクが同時進行する複雑なプロジェクトです。
思わぬトラブル発生を未然に防ぐためにも、綿密なスケジュール計画が要です。移転先が決定してから稼働するまで一般的には3ヵ月はかかると言われています。

更にシステム要件が加わったり、契約で時間がかかったり、思うように進行できないことも多々。どのフェーズで何が必要なのか、それはどのくらい時間がかかるのか、順序だてて逆算し、無理のないスケジュールを立てていくことが重要です。

スムーズな移転を実現、タスクの役割分担は明確に

移転先で稼働開始するまでの準備期間には、実に多くの作業が発生します。
そのため、新しい物流委託先との協力体制や連携が大変重要です。

以下の3つを軸にし、作業タスクの役割分担を時系列で明確化しておくことで、スムーズな移転を目指すことができます。

  • 自社でやるべきこと
  • 新しい物流委託先がやるべきこと
  • 自社と新しい物流委託先、一緒にやるべきこと

こちらは「3.倉庫移転のタスク&スケジュールを時系列で解説」で詳しく解説します。

何から始めれば良い?押さえておくべき3つのポイント

意外と盲点、データ連携は大丈夫?仕様確認はお早めに

移転準備で特に時間がかかるのが、新しい移転先倉庫とのデータ連携です(この作業で予想以上に時間がかかってしまい、稼働日が遅れてしまうEC事業者様も少なくありません)。

データ連携をする範囲・種類は事業規模によって異なりますが、移転先倉庫が運営する倉庫管理システム(以下、WMS)との連携は必須となります。たとえば、代表的な連携データは以下があります。

  • 自社システムからの出荷指示データを、WMSへ連携
  • WMSからの出荷完了データを、自社システムへ連携

お客様へ正しく商品をお届けするために大変重要な部分となり、連携においてはシステムの改修が発生する場合もあるため、現状の業務フローや利用システムの仕様については極力早めに確認し、構築期間を十分に設けます。

また受注~出荷完了(売上処理)までの業務フローを確認し、利用している受注管理(販売管理)システムでは「どのようなデータをアウトプットできるのか&インプットが必要なのか」を把握し、その他基幹システムやエクセル管理などが業務フローに関わっている場合も、同様に仕様を把握しておきましょう。

MEMO:商品マスタは整備できていますか?

物流の基本となるのが商品マスタです。
出荷場では商品の最少単位(SKU)に対して結びついた商品コードに基づいて在庫管理やピッキング指示、バーコード検品が行われます。

たとえば楽天、Yahoo!ショッピング、Amazon、でサイト運営していてまったく同じ商品でもそれぞれ違う品番で登録されている場合、それらを1つの最少単位に統一する商品コードをつけて管理する必要があります。取り扱い点数によってはマスタ整備は膨大な作業となります。計画的に準備を行いましょう!

今の業務フローや運用ルール、変わる可能性を考慮する

物流委託会社はあくまで外部の会社なので、正しい出荷作業のためには指示とルールが必須です。現状のやり方が移転先の倉庫へそのままスライドできるとは限りません。

業務フローや運用ルールが現状と変更する可能性に備えて、あらかじめ、関係する部署や担当者の業務内容を事前に把握しておくことも必要です。例えば、

  • 【現在】商品知識のある熟練アルバイトが記憶だけでピッキングをしている
    【移転後】商品マスタを整備して棚番号を紐付し、誰でも正しくピックできるようにする
  • 【現在】口頭の指示だけで荷物にチラシを同梱している
    【移転後】特定商品、特定顧客へのチラシ同梱をする場合は出荷データ1件1件に指示が必要

など、属人化している作業や実担当者と現場作業者だけが知るローカルルールは誰でも作業ができるようなルールに組み立て直す必要があります。

現状の運用が変わることに抵抗が多いかもしれませんが、移転を機会にルールを明確化し、外部向けの指示ができる体制に変えていくことが、大幅な品質アップ・工数削減・コストカットに繋がります。

社内・物流委託先・システムベンダーとは円滑な情報連携を

倉庫移転というと物流の関係者に絞りがちですが、現在の物流委託先、新しい物流委託先、資材や仕入元などの物流関係各所のほか、受注担当やコールセンター部門(委託会社含む)との連携や、経理部門・システム改修に伴うシステム部門やシステムベンダー会社など、あらゆる関係各所と事前に情報共有をしておくことがポイントです。例えば、

  • 移転先へケース商品をバラして入庫するには、本社の物流部門と調整が必要だった
    (メーカーの場合)
  • 本社の経理処理のために、出荷後の報告データは特殊なデータを連携させる必要があった

などが移転プロジェクトを進める中で発覚し、実はその調整には想定外の時間がかかってしまう、といったことも珍しくありません。

移転を決断されるタイミングで、関係各所と業務・データがどのように結びついているのか、全体のフローを把握しておきましょう。必要に応じて移転関連のミーティングに関係部署にも参加してもらうなど円滑なコミュニケーションをとっておくことで、認識違いやトラブル等を未然に防ぎ、スムーズな移転プロジェクトを進めていくことが可能になります。

倉庫移転のタスク&スケジュールを時系列で解説

物流委託先決定(発注)から稼働開始までの主なタスクは大きく分けて下記の4つです。

  • 契約
  • 業務分析~設計
  • システム(WMS)連携
  • 移転

ここからは代表的なタスクを時系列に沿って解説していきます。

物流委託先確定・発注次第すぐ(最低でも稼働日より約3か月以上は必要)

(1)まず新しい物流委託先との「業務委託契約」と同時に、現在の物流委託先との「解約準備」を行います。

契約①②:新旧委託先との、契約締結および確認
MEMO:解約準備におけるチェックポイント

◆解約予告期間
一般的には「解約〇ヶ月前に告知しないと違約金が発生する」など
解約時のルールなど契約内容を今一度確認しましょう。
◆資産
棚・端末などの資産関連(どちらが所有するか・買取要否)や
解約時にかかる諸経費(環境復元・原価償却)も確認します。

稼働日の約3ヶ月前

(2)現倉庫の作業内容・運用を確認して、必要に応じて新しい運用案を組み立てます。

業務分析~設計①②:現状の運用洗い出し・検証

入荷時はどんなチェックをしているのか?梱包はどのような仕様か?などひとつひとつの作業を、ミーティングやマニュアルの開示などで新委託先へ細かく共有します。自社出荷や、現委託先の許可が得られる場合は実際の出荷作業の様子を新委託先に視察してもらうのが一番良いでしょう。

まずは現状の業務をそのままトレースできるよう把握、その上でより効率的な案を新物流委託先から提案してもらいブラッシュアップしながら移転後の作業・運用を組み立てていきます。

MEMO
  • 入荷:ケース単位検収/単品検収/バーコードスキャン可否
  • 梱包:資材の種類/緩衝剤の使い方や量/テープの止め方
  • 付帯作業:ギフトラッピングの仕様、セット組作業
  • 同梱物:同梱物の種類と定義/同梱ルール
  • 返品:返送品の報告ルール/在庫計上可否

(3)倉庫管理システム(WMS)の連携準備を行います。

システム連携①:システム要件の洗い出し・分析

正確な出荷をするためには物流委託先と必要な情報をデータでやりとりするのがマストです。
「優良顧客の方には特別なチラシを入れたい!」「ラッピングにこだわりたい!」など、実際に作業するためには、ひとつひとつの出荷データに指示を入れて、物流委託先に渡さなければなりません。

実現したい運用に合わせてデータ連携については十分な時間をとって新物流委託先と協議しましょう。双方の改修や準備の期間は場合によってかなりの時間を要することもあります。

<システム連携の流れ>

手順1 必要となる連携データの種類、項目を双方確認
・データの種類:
 商品マスタ、出荷指示データ、入荷予定(発注)データ、出荷報告データ(送り状番号)等
 入荷した在庫計上には、使用システムによって連携するデータが変わる場合も…
・委託先より基本のインターフェース(項目内容と並び順)、必須項目開示
・現状のサンプルデータの提示
手順2 連携使用とルールの策定
・連携するファイルの種類と項目を確定させる
商品コードや住所など基本的な項目以外に、ギフトラッピングやチラシ同梱といった付帯作業が発生する場合はその指示を「どの項目」で「どんなルール」で連携するのかがキーとなる
手順3 システム改修、設定変更
・手順2で決定した内容に従って、委託先はWMSの改修を、EC事業者側も必要に応じて設定変更などの対応を行う

稼働日の約2ヶ月前

(4)移転する荷物の量を確認し、移転の手順を決定します

移転①②:荷量見積もり、移転手順

移転する在庫の点数を把握したら、段ボール換算したら何箱か?トラック何台分になるのか?を現委託先に確認をします。その情報を元に、移転搬出の費用、トラック費用の見積を依頼しましょう。

この段階で同時に以下の内容を新委託先に提示してもらい、現委託先と交渉をします。

  • 移転日程、概算スケジュール
  • 現倉庫への移転梱包の指示書

特に移転時の梱包状態によっては搬入する側が想定以上に時間を要してしまうことがあります。移転後スムーズに出荷開始を迎えるためにも必要な指示をしっかり現倉庫へ伝えましょう。可能であれば3社(現委託先・新委託先・自社)でのミーティングを持ち、認識の齟齬を防ぎます。

移転は主に出荷の無い土日をメインに行うことが多いです。荷量により搬出から搬入までの日数は変わりますので、現倉庫・移転先それぞれでかかる作業期間からスケジュールを決定しましょう。

MEMO:現倉庫の保管在庫は最小限で!

現状の保管在庫をそのまま新倉庫へ移転するのではなく、「現倉庫への入荷は移転前〇日まで」「その後は新倉庫へ入荷する…」など入荷量やスケジュールを調整し、予め(現倉庫での)保管在庫を減らすことで、トラックの台数も必要最低限にて対応することが可能です。当日までの販売数・必要入荷量を見通し計算し、最小限にて移転するように調整しましょう。

稼働日の約1ヶ月前

(5)(3)で策定された運用ルールもとに、データ連携テストを実施します。

WMS構築③:連携テストの実施

(3)の後、双方のシステム改修や準備が完了後、問題なく連携ができているか、実際の伝票を打ち出しまでのテストを行います。例えば、

  • 正しく在庫の引き落としができているかどうか。
  • チラシ、ノベルティの同梱指示が正しくピッキングリストへ反映されているか
  • セット商品の印字がピッキングリストへ構成品単位で正しく印字されているか

などのデータ連携が出来ないままであれば、商品が移転出来ても、出荷をすることが出来ません。テスト印字した各種伝票類は漏れなく間違いなく印刷できているか、委託先だけに任せずご自身の目でも必ずチェックします。

<データ連携テストの流れ>

手順1(自社) 全てのパターン(決済方法・ラッピング・同梱内容など)の連携データを準備し、新物流委託先に共有
手順2(新物流委託先) 在庫引き落とし、納品書・ピッキングリスト・送り状を出力~報告データ作成
手順3 その出荷報告データと共に、取り込みから反映まで確認

(6)最終移転スケジュールを決めます。

移転③:スケジュール確定/車両の手配

移転の詳細なタイムスケジュールを確定していきます。
現倉庫での出荷は何日の何時の分まで行うか、そこから搬出作業には何日を要し、1台目のトラックへ何時に積載して移転先には何時に到着するか…また、荷物がすべて届いたら移転先は何日で出荷できる状態にするか、これらを細かく計画を立てます。

移転作業が平日にもかかる場合にはお客様への出荷にも影響が出ます。出荷停止する期間から溜まる受注件数は何件ほどかを事前に想定し、それを稼働後に何日間で消化していくか、新物流委託先と事前に計画しておくことも重要です。

稼働日の約1週間前

(7)搬出~搬入には立合い、予定通りに対応できているかをその目で確認します。

移転④:搬入・搬出

現状倉庫での最後の出荷を終えたら、棚卸と梱包を行い搬出します。移転先では到着した荷物が予定通りかどうかご自身の目でチェックし、保管をしていきます。棚卸を実施し、搬出時の在庫と一致すれば物流移転のすべての工程は完了です。

搬出時

  • 現倉庫での最終出荷が終了後、棚卸を実施して理論在庫と実際の在庫数の差異がないか確認
  • 棚卸結果を反映した移転全商品の商品コード、数量の一覧データを移転先へ送付
  • 現倉庫での作業の立ち合い
  • 引越し梱包ルールが守れているか、自社資産が残っていないか等確認

搬入時

  • 移転先での作業立ち合い
  • 商品マスタに無い商品、移転予定データに無い商品などイレギュラー時の確認
MEMO:搬出前には必ず棚卸を!

搬入作業段階で予定より実際の数が少ない場合、商品が無い場合
元の倉庫で棚卸をしておかなければ、搬出のときに無い在庫だったのか?搬入作業のミスで見つからないのか?
どちらの情報が正しいのか判断ができません。「出るときと入るときの在庫数」は必ず一致させるよう棚卸を行いましょう。

稼働開始(当日)

(8)移転先倉庫で、問題なく作業できているかチェックをします。

稼働開始:立ち会い

事前に(2)(3)で決めた手順通りに梱包・入荷作業ができているかどうか、立ち会って確認をします。稼働が始まった後も、作業の確認や在庫量、スペース使用状況などを定期的に倉庫訪問して直接確認することをおすすめします。

MEMO:チェックポイント

最終梱包チェック:

例1:商品に対する緩衝剤量の調整リクエスト
(もう少し多い方がいい/少ない方がいい)

例2:ラッピングリボンの調整リクエスト
(もうちょっとクルクルしたい/短めに切りたい)

まとめ:倉庫移転による物流の混乱を避けるためには

いかがでしたか。
物流は「別名:通販の心臓部」とも言われています。
その物流を移転トラブルで長い間止めてしまうのは大きな機会損失に繋がります。
スムーズな物流移転は「念入りな事前準備」と「綿密な計画」があってこそ。
まず移転を考える際に、少しでもお困りになったら是非スクロール360にご相談ください。

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