顧客満足度は商品やサービスに対し「顧客がどれだけ満足したか」を把握できる指標として、多くの企業で用いられています。新規顧客に対して、安心感や信頼感を与える役割もあることから、顧客満足度は売上向上のためのキーポイントとされています。
本記事では、ECサイトの顧客満足度を向上させる方法や具体的な施策について詳しく解説します。顧客満足度向上で生じるメリットや、測定指標も知ることができますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ECの売上アップに繋がる「多店舗展開」、
メリットや成功の秘訣を具体例と共に解説!
1ECサイトにおける顧客満足度とは?
ECサイトにおける顧客満足度は「ECサイトからの商品購入を通して、顧客がどれだけ満足したのか」を数値化したもので、自社商品が消費者にとって信頼できるものかどうかを客観的に把握する手段として、重要な役割を果たしています
消費者が料金を支払っただけの価値があったのかどうかは、以下の観点から評価します。
- 商品の品質
- スタッフの対応
- ECサイトの利便性
この評価が、消費者の期待より大きく上回ったときに顧客満足度が高くなり、反対に期待外れだった場合はマイナスなイメージを持たれているため、商品やサービスの改善が必要です。
顧客満足度の重要性
現在、SNSの普及によって消費者が口コミを書きやすく、その内容が多くのユーザーの目につくようになりました。口コミすべてが良い内容ではなく、顧客満足度が低いと悪い内容を書き込まれてしまう場合があります。悪い口コミが原因で商品や企業のイメージが低下し、売上にも影響することから、顧客満足度は重要な指標として多くの企業で用いられています。
2ECサイトにおける顧客満足度を向上させるメリット
ECサイトにおける顧客満足度を向上させるメリットとして、以下の3つがあります。
- 競合との差別化
- 新規顧客の獲得
- リピーターの増加
競合との差別化
高い顧客満足度は、競合との差別化につながり、購入者数が増加します。
たとえば「リピーター率:90%」「お客様レビュー:4.5(5段階評価)」という結果が得られた場合、これらを宣伝に活用することで信頼感や安心感を与え、購入意欲を高めることが可能です。このような信頼性がブランド力向上につながるため、価格競争からの脱却に効果があります。
新規顧客の獲得
顧客満足度の向上によって口コミでの評価も高くなるため、新規顧客を獲得しやすくなります。KDDIエボルバの調査によると、口コミによる購入経験者は9割以上いることがわかっており、良いレビューが重要であると考えられます。
(参考:口コミによる購入経験は9割以上、企業アプローチの購買意欲への影響度は6割/ PRtimes)
リピーターの増加
顧客満足度が高いほど再購入意欲が高まり、リピーターになる可能性が高くなります。パレートの法則によると「売上の8割は2割の顧客(リピーター)の購入によるものである」と提唱されており、売上向上にはリピーターの増加が欠かせません。
リピーターを増加させるには、商品やサービスの質を改善し、顧客ニーズに応え続けることが望まれます。
ECの売上アップに繋がる「多店舗展開」、
メリットや成功の秘訣を具体例と共に解説!
3ECの顧客満足度を向上させるためのポイント
ECの顧客満足度を向上させる方法として、以下の2つがあります。
- 顧客満足度の定義を明確にする
- 費用対効果とのバランスを考慮して目標を立てる
顧客満足度の定義を明確にする
まずはじめに自社の課題を整理します。その課題を解決するため「どの顧客層において」「どんな内容に関する満足度」にするのか、目的を明確にしてから顧客満足度を定義します。EC通販事業に関わるスタッフ全員に共有し、同じ方向性で施策の立案・実行をしましょう。
【目的例】
- リピーターの満足度を高めたい
- 自社の配送サービスの満足度を把握したい
費用対効果とのバランスを考慮して目標を立てる
顧客満足度の向上は、商品やサービスの改善と効果測定を繰り返し行う必要があり、多くのコストや時間がかかるため、費用対効果も意識しましょう。
特にWEB広告を用いた宣伝や同梱チラシなどの施策は、人件費以外にも継続的にコストが発生します。そのため、目標を立てる際は予算を確認し、費用対効果のもっとも高い施策を選ぶことが大切になります。
4ECの顧客満足度を向上させる具体的な施策
ECの顧客満足度を向上させる具体的な施策として、以下の4つがあります。
- FAQやチャットボットを設置する
- CRMツールを導入する
- 複数の商品画像と詳細な説明文を掲載する
- 購入までの導線を短くする
FAQやチャットボットを設置する
FAQやチャットボットの設置によって、購入検討時に不明点が発生しても、すぐに解決できるようになります。
FAQは「よくある質問」という意味で、消費者から頻繁に質問される内容をあらかじめサイトに掲載することで、カスタマーセンターに問い合わせする手間を省くことができます。
また、チャットボットでは消費者の不明点の回答を選択式で閲覧できるため、FAQのように悩みや不明点を毎回探す必要がなく、スムーズに悩みを解消できます。
商品やECサイトで抱えている消費者の不安を少しでも取り除くことで、「ECサイトの利便性が高い」と思われるようになり、顧客満足度が向上します。
CRMツールを導入する
CRMツールは顧客情報を一元管理できるツールのことで、顧客の購入履歴やメール管理、顧客分析などを効率的に行うことができます。
さらに顧客分析から、消費者の特徴に合わせた最適なアプローチや施策が行いやすくなるため、顧客満足度の向上が見込めます。
【施策例】
- 消費者の興味・関心に応じたメールマガジンやクーポンの配信
- 顧客満足度アンケート調査の実施ならびに自動収集・分析
複数の商品画像と詳細な説明文を掲載する
実物とECサイト掲載商品のイメージが乖離している場合、返品や返金のトラブルにつながりやすく、顧客満足度が低下する可能性があります。
これを防ぐためには、画像の色合いを実物に近づけ、サイズ感が具体的にわかるように、確実な商品登録で商品のイメージを高めるようにしましょう。
また「イメージと異なる場合があります」のように注記を補足することも、トラブル防止に効果があります。
購入までの導線を短くする
ECサイトでは、スムーズに購入ページまでたどり着かないと途中離脱が発生し、顧客満足度の低下だけでなく、顧客獲得の機会損失になる可能性もあります。購入までの導線を短くし、ECサイトの利便性を高めることに注力しましょう。
【購入までの導線を短くする施策例】
- CTA設置場所の変更
- 購入ページまでにクリックする回数の削減
- 顧客情報の入力時間の削減
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5ECサイトにおける顧客満足度を把握する方法
ECサイトにおける顧客満足度を把握する方法として、以下の3つがあります。
- アンケート調査
- リサーチ会社による調査
- 電話・対面でのインタビュー調査
アンケート調査
WEBサイトやSNS、スマホアプリなどを用いてアンケートを実施することで、顧客満足度を計測できます。アンケート調査はユーザーが気軽に参加できることがメリットですが、協力してくれる消費者は少なく、回収率が低い点がデメリットとなります。
アンケートを多くの人に協力してもらうには、クーポンやサンプルのプレゼントなど特典を付けることで意欲を高めることが出来ます。また、消費者の回答ハードルを下げるために、自由記述の箇所を少なくし、選択式の質問を多くしましょう。
リサーチ会社による調査
リサーチ会社に依頼する場合、定性調査や定量調査など、さまざまな方法で調査を実施できます。リサーチ会社が培ったノウハウと実績により、正確なデータを入手できることはもちろん、新しい観点から顧客満足度を把握することが可能です。
ただし調査する目的が曖昧だと、自社で本来必要としていたデータが得られない可能性があります。
電話・対面でのインタビュー調査
消費者に電話や直接会うことで質問に回答してもらう調査もあります。アンケート調査と比べて質問内容を変えられるため、自由形式の質問をしたいときや意見を深掘りして聞きたいときにおすすめです。
しかし、回答までに時間や手間がかかることから、人的リソースの負担が大きくなります。電話調査の場合、自動音声でのアンケートもできますが、調査に協力してもらえる可能性が低くなります。
6ECサイトの顧客満足度を測るための指標
ECサイトの顧客満足度を測るためによく利用される指標として、以下の5つがあります。
- CSAT
- CSI
- JCSI
- NPS®
- LTV
CSAT
CSAT(Customer Satisfaction)は、顧客満足度を把握しやすい指標として利用されています。CSATでは「満足」「普通」「不満」などで消費者からアンケートを取り、以下のような計算式で、満足度を算出します。
CSAT(%)=「満足」の回答数 ÷ すべての回答数×100
また、満足度を星で表現して、視覚的に評価を見ることも可能です。評価方法がシンプルであるため、簡単に導入できることがメリットです。
CSI
CSI(Customer Satisfaction Index)は、商品に関連する質問に点数方式で回答してもらい、平均値を算出して顧客満足度を把握する方法です。商品と関連性のある質問として、以下の5つの項目があります。
- 顧客期待値
- 顧客不満度
- 顧客忠実度
- 知覚品質
- 知覚値
調査方法は複雑ですが、信頼性の高いデータを得られやすいことから、多くの企業で活用されています。
JCSI
JCSIは、CSIをベースにした顧客満足度の指標で、日本の産業に合わせてカスタマイズされました。JCSIでは、以下の6つに関する質問を行います。
- 顧客期待値
- 顧客不満度
- 顧客忠実度
- 知覚品質
- 知覚値
- 推奨意向
1つの項目ごとに3~4つの質問をし、0~100点で点数を付けてもらい、各項目の平均値を算出し、以下の式でJCSIを求めます。
JCSI=実際に顧客が感じた価値-事前の期待値
CSIと同様、高精度な顧客満足度を把握できることがメリットです。
NPS®
NPS®(Net Promoter Score)は、商品を他人におすすめしたいかを表す指標です。NPS®では、満足度に関する質問について0~10で評価を行い、以下の3つにグルーピングします。
- 9、10点と評価した人:推奨者
- 7、8点と評価した人:中立者
- 0~6点と評価した人:批判者
上記のグループから以下の式を用いて、NPS®を求めます。
NPS®(%)=(推奨者 ÷ すべての回答数) – (批判者 ÷ すべての回答数)
NPS®によって、企業やブランドに対する好感度や信頼性を数値化して把握できます。
LTV
LTV(Life Time Value)は、特定の顧客が自社で商品の購入をしてから辞めるまでの売上を表す指標です。
企業によって計算方法が異なり、例として以下のようなものがあります。
LTV=平均購入単価 × 平均購入回数 × 継続年数
LTV=粗利÷ 購入者数
LTVは優良顧客の割合を把握したいときに有効な指標ですが、短期間で効果測定が難しい点がデメリットとして挙げられます。
ECの売上アップに繋がる「多店舗展開」、
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7ECサイトの顧客満足度が下がる原因
ECサイトの顧客満足度が下がる原因として、以下の3つが挙げられます。
- 出荷・発送に問題がある
- 顧客への対応品質に問題がある
- ECサイトに問題がある
出荷・発送に問題がある
届いた商品に傷があったり、注文した商品と異なるなどの出荷・発送でのミスにより、顧客満足度が下がります。この場合、丁寧に返金や返品の対応を行うことで著しい顧客満足度の低下を防止でき、逆に向上できる場合もありますが、対応次第では、企業のイメージをさらに下げる要因になります。
自社の物流品質を向上したい場合は、物流業務のアウトソーシングも検討しましょう。
顧客への対応品質に問題がある
顧客対応でトラブルが発生した場合、顧客満足度の低下につながります。「メールで問い合わせしたのに回答がこない」「発送の状況がわからない」のような不安を与えてしまうと、企業の対応があまり好ましくないと感じるようになります。
対応品質を高めるためには、サンクスメールの導入やカスタマーサポートスタッフの教育などの対策を行いましょう。
ECサイトに問題がある
商品登録が適切にできておらず、商品の内容や画像イメージが実物と異なることで、顧客満足度が下がります。また、ページの読み込み速度が遅い、購入フォームが複雑などのECサイトの操作性も顧客満足度に影響します。
顧客満足度だけでなく、ページ離脱率による顧客獲得の機会損失にもつながるため、ECサイトの改善は定期的に行いましょう。
8まとめ:顧客満足度向上で新規顧客とリピーターの獲得を
顧客満足度は、新規顧客とリピーターを獲得するために重要な指標です。自社の目的に沿った方法で顧客満足度を把握し、低下する要因を見つけて改善していきましょう。
また、当社ではEC通販事業に関するサポートをしており、顧客満足度の向上策の提案も行っていますので、売上アップに関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
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