LTVとは、日本語で「顧客生涯価値」と訳され、1人の顧客が生涯を通して企業にもたらす利益を算出したマーケティング指標です。顧客との関係を強化して平均購買単価やリピート率を上げることでLTVの向上が可能であり、長期的な売上の安定につながります。
本記事では、LTVの概要や計算方法、向上するために重要な指標・施策などを紹介します。
目次
ECの売上アップに繋がる「多店舗展開」、
メリットや成功の秘訣を具体例と共に解説!
1LTV(ライフタイムバリュー)とは
LTV(顧客生涯価値)とは1人の顧客が取り引きを始めてから終わりまでの期間を通じて、企業や店舗にもたらす損益を累計算出したマーケティングの成果指標のことです。
通販におけるLTVの重要性
LTVは業界問わず使用されていますが、直接接客する機会の少ないEC通販事業においては、新規顧客の獲得が難しく、既存顧客のリピートが売上を大きく支えるため、特にLTVが重要視されています。
LTVが向上すると、長期的かつ安定的な利益獲得にもつながります。そのためにも、CACやCRCなどの指標で顧客を分析し、さまざまな施策で顧客満足度を高めていく必要があります。
2LTVの計算方法
LTVは「購入単価 × 購入回数 × 継続期間」がベースであり、求めたい指標や扱う商品によって細かい計算方法は異なります。具体的には、以下のような計算方法があります。
対象 | 計算方法 |
---|---|
リピート商材 | 購入単価 × 購入回数 × 継続期間(値は全て平均値) |
BtoB商材 | (1顧客あたりの)年間取引額 × 収益率× (1顧客あたりの)継続年数 |
サブスクリプション型商材 | 顧客の平均単価 × 粗利 ÷ 解約率 |
このように、対象にあわせた計算方法の使い分けにより、商品や業態ごとのLTVを求めることが可能です。
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3通販でLTVを向上させるために重要な指標
通販でLTVを向上させるために重要な指標には、以下の5つがあります。
- CAC
- CRC
- ARPU
- チャーンレート
- ユニットエコノミクス
CAC
CACとは、Customer Acquisition Costの略であり「新規顧客1人を獲得するためのコスト」のことです。
以下の計算式で求められ、使用コストが売上につながっているかを確認するために使います。
「新規顧客獲得にかかる費用の合計 ÷ 新規顧客獲得数」
取り扱う商品のリピート率が高い場合は、新規顧客へのコストを増やすことがありますが、基本的には利益を圧迫せず、顧客満足度を下げない程度のバランスが重要です。
CRC
CRCとは、Customer Retention Costsの略であり「顧客1人との関係を維持するためのコスト」のことです。具体的には、顧客に対して定期的にアプローチする同梱物・メルマガなど、顧客満足度を高めてリピートを促すマーケティング施策にかかったコストを指します。
以下の計算式で求められ、顧客管理システムの利用料などもCRCとして計算されます。
「既存顧客との関係維持にかかる費用の合計 ÷ 既存顧客数」
既存顧客が生み出す売上とのバランスにも注意する必要があります。
ARPU
ARPUとは、Average Revenue Per Accountの略であり「1人の顧客に対する1ヶ月あたりの平均購入額」のことです。サブスクリプション型の商品を取り扱っている場合は、月額料金と同じ数字になることもあります。
ARPUを求めれば顧客1人当たりの平均売上額がわかるため、ユーザー数から将来の売上予測も可能となります。
チャーンレート
チャーンレートとは、1ヶ月あたりの解約率であり、サブスクリプション型や定期購入型の商品やサービスを扱っている場合に使われる指標です。
チェーンレートには、解約数に着目する「カスタマーチェーンレート」と、収益に着目する「レベニューチェーンレート」があります。知りたい数値が「解約数」か「減少した収益」かによって使い分ける必要があり、どちらの数値でも3%を超えると改善に向けた施策が求められます。
ユニットエコノミクス
ユニットエコノミクスとは、ビジネスの採算性を示す指標であり、顧客獲得にかけているコストの回収ができているかを確認することが可能です。
以下の計算式で求められます。
「LTV ÷ CAC」
この解が「3」を超えることが目標と言われており、それ以下の場合は、顧客獲得にコストをかけすぎているため改善が求められます。逆に数字が大きすぎると顧客獲得コストを削減しすぎていることから、顧客の取りこぼしも懸念されます。
4通販でLTVを向上させるポイント
通販でLTVを向上させるポイントには、以下の4つがあります。
- 平均購買単価を上げる
- 顧客との関係を強化する
- リピート率を高める
- 顧客獲得・維持コストを下げる
平均購買単価を上げる
平均購買単価を上げることはLTVの向上に直結する方法ですが、強引に提案してしまうと顧客離れのリスクもあります。そのため、提案にネガティブな印象を持たれないように、顧客一人ひとりのニーズを分析し、適した商品を提案することが重要です。
たとえば、パソコンを購入しようとしている顧客に対してグレードが高い商品を提案するアップセルや、マウスやマウスパッドなどの周辺機器を提案するクロスセルを行うと、平均購買単価が上がります。
ただし、タイミングを間違えると予算オーバーなどの理由から購入を辞めてしまう可能性があるため、購入決定後のタイミングで提案する必要があります。
顧客との関係を強化する
顧客との関係性が構築できると、顧客満足度も高まり、継続して商品を購入してもらえるようになります。この継続期間が長ければ長いほど利益を生み、結果的にLTVの向上につながるため、顧客データを分析し、適切な打ち手を行うことが重要です。
また、購入後のアフターケアにも力を入れると、より継続的に購入してもらいやすくなるでしょう。
リピート率を高める
顧客獲得にかけるコストを上回る売上を出すためには、購入単価だけでなく購入頻度を高めることも重要です。たとえば、商品発送時にサンプル品を同梱することで顧客のロイヤリティが上がり、リピートを促せます。
1度の購入金額が少なくても購入頻度が高まれば、売上が伸びLTVが向上します。また、リピート率が増えることで新たな提案をする機会も増えるため、平均単価を上げる施策の実行も可能です。
顧客獲得・維持コストを下げる
顧客の獲得・維持コストを下げると利益率が上がるため、LTVの向上につながります。
たとえば、高額商品の販売で売上を伸ばしたとしても、CACとCRCが高いと利益は減ってしまいます。そのため、売上を伸ばす施策を行う一方で、顧客獲得・維持コストを下げることも重要になります。ただし、CACとCRCを削減しすぎると新規顧客の獲得率や顧客満足度が低下する恐れもあるため、バランスには注意しましょう。
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5通販でLTVを向上させるための施策
通販でLTVを向上させるための施策には、以下の3つがあります。
- 継続購入可能なプランを導入する
- 顧客へのアプローチ方法を工夫する
- マーケティングシステムを導入する
継続購入可能なプランを導入する
単品購入が基本の場合、定期購入や長期契約など、継続購入が可能なプランを導入するとLTVの向上が期待できます。その際、単体購入よりも1回あたりの料金が割引になるメリットを提示できると、プランの切り替えがスムーズです。
また、継続購入への切り替えや新規顧客が少ない場合は、2ステップマーケティングを検討してみてはいかがでしょうか。
2ステップマーケティングとは、まず試供品や無料お試し期間で商品やサービスを体験してもらった後で、本購入をしてもらうマーケティング手法です。1度試してから本購入・本契約ができるため、購入ハードルを下げることができます。
顧客へのアプローチ方法を工夫する
メールマガジンやステップメール、LINEやSMSなどの手法や同梱物を使用し、顧客との接点を拡大することもLTVの向上につながります。
たとえば、同梱物は開封率が非常に高いため、(試供品やカタログなどでの)他商品や他プランの訴求に適しています。試供品やクーポンは、顧客満足度やリピート率の向上にも効果が期待できます。
ただし、どのような手法であっても、不要な情報提供は顧客側に煩わしさを感じさせてしまう可能性があります。そのため、アプローチ方法を工夫する前に、購買履歴や閲覧履歴などの情報を分析し、顧客一人ひとりに適した接点を持つことが重要です。
マーケティングシステムを導入する
マーケティングシステムであるCRMツールやMAツールを導入する方法も、LTVの向上に効果的です。CRMツール・MAツールとは、顧客情報を一元管理できることに加え、分析やマーケティング施策の自動化が可能なシステムです。
顧客情報をもとに分析することで顧客一人ひとりのニーズにあわせてアプローチができるため、より効果的なマーケティング施策を実行できます。
6まとめ:適切な施策で通販のLTVを向上しよう
LTVとは、1人の顧客が取り引きを始めてから終わりまでの期間を通じて、その顧客がお店にもたらす損益を累計算出したマーケティングの成果指標のことです。LTVを向上するためには、平均購買単価やリピート率を高めつつ、施策に必要なコストを抑える必要があります。
LTVの向上には、継続可能プランの導入や、顧客一人ひとりのニーズに適したアプローチが必要です。当社では、物流を起点としたLTVの向上に関する支援も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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