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需要予測とは?物流における目的や課題、精度を高める方法を解説

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需要予測とは?物流における目的や課題、精度を高める方法

需要予測とは、市場において自社の商品がどれくらい売れるかを予測することです。需要予測の精度が高いと、在庫管理や人員配置の最適化にも繋がります。

外部要因によって商品の需要が大きく変動することがあるため、さまざまな角度から需要予測を立てることで物流波動にも柔軟に対応することができます。

本記事では、需要予測とは何か、物流における目的や課題、精度を高める方法を解説します。

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需要予測とは?

需要予測とは(イメージ)

需要予測とは、適切に需給管理を行うために、自社の商品がどれくらい売れるかを予測することです。

商品の需要は、大きく「季節性」「トレンド」「ノイズ」の3つの影響を受けます。需要予測では、さらにこれらの3つの要因と、これまでの販売データや市場動向、波動なども含めて予測値を算出します。

需要予測の精度を高めることで、倉庫の在庫管理や業務およびコストの最適化に繋がることから、事業の発展に欠かせないプロセスといえます。

なぜ需要予測は重要なのか?

需要予測は、事業の成長を後押しし、収益を最大化するために重要です。 需要予測によって販売の機会損失を防げると、売上の減少を回避できます。予測値によって在庫管理が最適化されることで、余分な人員やリソースをカットできるのです。

物流における需要予測の目的

​物流における需要予測の目的は主に以下の4つです。

物流における需要予測の目的(イメージ)
  • 適切な在庫管理
  • 商品に適した発注方式の選択
  • 人員配置・リソース配分の最適化
  • 物流の効率化による生産性向上

適切な在庫管理

正確な需要予測ができると、在庫の数や種類を適切に管理できるようになるため、余剰在庫や在庫不足の発生を抑制することができます。 在庫の適切なコントロールは販売機会の損失を防ぎますが、需要予測を上回った商品の注文が発生すると、在庫不足を誘発することも考えられます。

これに対し、在庫不足を恐れ在庫が過剰になると、在庫管理費や保管スペースの消費といったデメリットが発生します。 需要予測と実測値が乖離しないためには、正確な需要予測が必要です。

商品に適した発注方式の選択

商品によって需要変動の特性が異なるため、需要変動に応じた発注方式を選択し、それぞれに適した方法で需要予測を立てることが大切です。

発注方式 定期発注方式 定量発注方式
概要 一定周期(発注間隔)でそのとき必要な数量を発注する方式 在庫が一定数(発注点)を下回ったら一定量を発注する方式
需要予測の特徴 ・発注周期ごとに必要量を計算するため、周期的に需要予測を行う
・季節変動や予期せぬ需要の変動に柔軟に対応する必要がある
・予測精度が高いほど、適切なタイミングで必要な量を発注できる
・発注点を決定する際、需要変動を考慮する必要がある
適用パターン ・定期的な需要が見込まれる商品
・発注間隔を調整しやすい場合
・緊急性が高い商品
・細かい在庫管理が必要な場合

人員配置・リソース配分の最適化

需要予測によって繁忙期や閑散期を正確につかめるようになると、適切な人員配置やリソース配分ができるようになります。人員配置とリソース配分が最適化されることで人件費が削減され、コストの最適化に繋がります。

物流の効率化による生産性向上

需要予測によって、適正在庫の維持や発注方式および人員配置が最適化されると、物流業務が効率化されます。これにより配送リードタイムの短縮、さらには物流全体の生産性向上にも繋がり、事業の成長も期待できます。

物流における需要予測の手法

物流における需要予測の手法は、大きく以下の3つに分類されます。

物流における需要予測の手法(イメージ)
  • 経験をもとに分析する
  • 各種データを統計的手法を用いて分析する
  • 市場調査をもとに分析する

経験をもとに分析する

需要予測は、担当者の経験に基づいて行われることがあります。担当者の経験が豊富だと、高い精度を期待できる手法です。

ただ、担当者の経験や勘に精度が左右されるため、業務が属人化しやすい傾向にあります。複数の物流拠点があり担当者が複数いる場合は、担当者によって精度にバラつきが生まれる可能性も考えられます。

各種データを統計的手法を用いて分析する

需要予測には、以下の関連データを、統計的手法によって分析する方法があります。

  • 販売データ
  • 季節や天候
  • 曜日や時間帯
  • 競合の情報
  • トレンド

統計の知識を身につければ、担当者の経験や勘に予測精度が左右されないため、業務の属人化を避けられます。一般的に、過去と現在の状況が大きく異なるケースでは、予測精度が下がります。 尚、需要予測に用いられる代表的な統計的手法は以下の4つです。

  • 移動平均法
  • 加重移動平均法
  • 指数平滑法
  • ホルト・ウィンタース法

移動平均法

移動平均法は、過去の一定期間のデータの平均値を出し、予測値とする方法です。

活用例 メリット デメリット
過去3ヵ月間の販売データの平均値を出し、次月の予測値として使用する 計算方法が簡単であるため、知識や経験が少ない人でも需要予測ができる 長期的なトレンドや周期的な変動を反映しにくく、選択する期間によって予測結果が大きく変わることがある

加重移動平均法

加重移動平均法は、移動平均法で算出した過去データの平均値に対して、重み(データの重要性を示す数値のこと)をつけて予測する方法です。

活用例 メリット デメリット
古いデータに対しては低い数値、新しいデータに対しては高い数値を掛け合わせ、最新データの影響力を濃く反映した予測値を算出する 重要性の高いデータに高い重みをつけることで、データが与える影響を制御できる 重みの設定によって予測値が大きく変わるため、商品の特性や市場の変動などを踏まえて慎重に設定する必要がある

指数平滑法

指数平滑法は、短期的な予測やランダムな変動が多いケースに適しており、過去の予測値と実測値をもとに、現在の予測値を算出する方法です。

活用例 メリット デメリット
時系列データにおいて、古いデータほど影響力が小さくなるよう、重みを使って平滑化する 予測値に最新のトレンドや市場変動を強く反映できるため、変化の激しいケースで精度の高い予測が出せる 長期的な季節性や周期性の変動を反映することが難しい

ホルト・ウィンタース法

ホルト・ウィンスタース法は、季節変動の影響が大きい商品に対する需要予測に適しており、季節性や周期性を踏まえて予測値を算出する方法です。

活用例 メリット デメリット
季節ごとの需要の変動を考慮して、必要な在庫量を予測する 指数平滑法では難しかった季節性やトレンドを踏まえた予測値の算出ができる 加法モデルと乗法モデルがあり、どちらを選びどのように設定するかによって予測精度が変わる

市場調査をもとに分析する

需要予測には、顧客アンケートや競合調査の結果をもとに算出する方法もあります。販売前の商品に適しており、初回の注文予測を立てる際に活用可能です。 最新状況を反映した予測を出せる一方、プロセスに時間とコストがかかるデメリットがあります。

需要予測で使用するツール

需要予測で使用するツールは主に以下の3つです。

需要予測で使用するツール(イメージ)
  • エクセル(Excel)
  • 在庫管理システム
  • AI予測ツール

エクセル(Excel)

エクセルでは、主に以下3つの関数を用いることで需要予測が可能です。

  • FORECAST関数
  • TREND関数
  • SLOPE関数

自分で関数を用いてフォーマットを作成しなくても、エクセルの標準機能である「予測シート」を活用すると効率的です。予測シートは、指定した範囲内のデータをもとに指数平滑法で予測値を算出するため、需要予測に適しています。

ただし、エクセルによる需要予測は在庫管理システムやAI予測ツールと比較すると限界があります。特に、取り扱う商品数が多い場合は管理が煩雑になるため、適切な需要予測が難しくなる傾向にあります。

在庫管理システム

在庫管理システムには、需要予測機能がついているものがあり、これを活用することで知識や経験がなくても需要予測が可能です。

在庫管理システムは、在庫情報を一元管理するとともに在庫の変動をリアルタイムに反映するため、在庫管理業務を最適化しながら需要予測を効率的に立てられる点が特徴です。

AI予測ツール

AI予測ツールの利用により企業がこれまで蓄積してきた時系列データや市場、競合調査のデータなど幅広く考慮した予測値を算出可能です。

専門的な知識やスキルも必要ないため、だれでも需要予測を立てられるようになります。ただし、ツールの導入と維持にはコストがかかるため、導入は慎重に判断しましょう。

物流における需要予測の課題

物流における需要予測の課題は主に以下3つが挙げられます。

物流における需要予測の課題(イメージ)
  • 商品数(SKU)が多いと精度の高い予測が難しい
  • 需要予測業務は属人化しやすい
  • 外部要因を受けやすい

商品数(SKU)が多いと精度の高い予測が難しい

需要予測は商品ごとに行うため、取り扱う商品数(SKU)が多いと、需要予測が煩雑化し時間がかかります。注力商品のみ需要予測を行うこともひとつの手ですが、他の商品の比重が下がる点が懸念されます。こうした問題から、精度の高い予測が難しくなります。

商品数が多いなかで高い予測精度を保つためには、在庫管理システムやAI予測ツールによってプロセスを自動化し、需要予測にかかる時間を短縮する必要があります。

需要予測業務は属人化しやすい

需要予測業務には知識と経験が必要となるため、担当者の力量に精度が左右されやすいうえ、業務が属人化しやすくなる特徴があります。担当者の知識や経験に依存せずに需要予測を行うには、在庫管理システムやAI予測ツールを活用し、業務を標準化する必要があります。

外部要因を受けやすい

商品の需要は、季節性やトレンド、パンデミックといった外部要因を受けやすく、予測が大きく外れてしまうことがあります。

たとえば、新型コロナウィルスの流行によってマスクの需要が急激に高まったことで、市場からマスクが消えたことがありました。パンデミックという外部要因を受けたことで、需要予測を大幅に超えてしまったのです。

パンデミックのような突発的な外部要因は予測が難しいものの、過去の傾向を踏まえることでおおよその予測を出せるものもあります。外部要因を考慮したうえで需要予測を立てるためには、商品に適した手法の選択や予測モデルの調整が必要です。

物流における需要予測の精度を高める方法

物流における需要予測の精度を高めるために効果的な方法は、主に以下の2つです。

物流 需要予測 精度を高める方法(イメージ)
  • 継続的に改善できる体制を整えておく
  • AI搭載の在庫管理システムを導入する

継続的に改善できる体制を整えておく

需要予測は、一度決めた方法やタイミングで継続すると、状況によって結果の精度に違いが生じることがあります。

そのため、需要予測が外れたとき、なぜ外れたのか、どうすれば精度を高められるかを考え、修正できるようにしておく体制を整えておく必要があります。継続的に改善を続けることで、高い精度を維持することが可能になります。

AI搭載の在庫管理システムを導入する

AIによる需要予測機能を有した在庫管理システムを導入することで、需要予測業務を自動化し、精度を向上させることができます。在庫管理システムには、需要予測に必要なデータが蓄積されているため、データの抽出や整理といった手間を省くことが可能です。

さらに、自動で需要予測を行うことで、予測精度にかかる時間とコストの抑制に繋がるでしょう。需要予測だけでなく、倉庫の在庫管理そのものを効率化できる点もメリットです。

AIを活用した需要予測による業務改善例

物流 需要予測 精度を高める方法(イメージ)

AIを活用することで需要予測の精度を高め、業務の標準化・効率化に成功し、リソースを最適化できた事例を紹介します。

全国規模に展開する物流企業では、各物流センターの人員配置計画の業務に大きなレベルギャップがあることが課題の1つでした。適切な人員数の配置をするには、需要予測の精度が重要になるため、各物流センターごと・担当者ごとに需要予測の精度に差があると、人員配置にも大きな影響を及ぼしてしまいます。

そこで、同社ではAIを導入することで、需要予測精度の標準化を目指したのです。
これにより、定番倉庫の物流予実乖離率がAI導入後に大幅改善しました。特に、精度レベルを4段階(※) に分けたうち下位の「普通」と「基準に満たない」の層で改善が見られたのです。

一方、精度レベル4段階(※) のうち最上位の「優」と2番目の「普通以上」の層は、AIによる予測よりも、人による予測の方が精度が高いことが明らかになりました。そのため、予測プロセスをすべてAIに任せるのではなく、人の手による補正を加えることでより高い精度を維持する仕組みを構築でき、従来よりも業務プロセスが標準化および効率化されました。
(※補足:予測値と実測値の差を示す割合で数値が低い方が精度が高い)

AIによってリソースが空いた分は、他の重要業務へとリソースを最適化することができ、需要予測にかかっていた人員の削減にも成功できるなど、大きな効果を得ています。
(参考:物流管理へのAI技術の有効活用|加藤産業株式会社)

まとめ:需要予測の精度を高めて物流を最適化しよう

需要予測とは、市場において自社の商品がどれくらい売れるかを予測することで、適切な在庫コントロール、発注方式の最適化、業務の効率化に繋がります。

一方、人の手による需要予測は、担当者の知識や経験によって精度が左右されやすい点に注意が必要です。精度の高い需要予測を行うためには、在庫管理システムやAI予測ツールの活用が適しています。

「物流についてまずは相談したい」
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