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定期発注方式とは?発注量の計算方法やメリット・デメリットを解説

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定期発注方式とは?発注量の計算方法

定期発注方式とは、在庫数に関係なく、あらかじめ設定した発注タイミングでその都度計算して発注する方法です。毎週、毎月、3ヶ月ごとなど発注サイクルは固定ですが、発注量は需要に合わせて変動します。

本記事では、定期発注方式の特徴や定量発注方式との違い、計算方法を解説します。メリットやデメリット、効果的に運用するポイントも説明しますので、ぜひご参考ください。

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定期発注方式とは

定期発注方式とは、あらかじめ設定したタイミングで発注する方法です。1週間に1回、1ヶ月に1回などの発注タイミングを決め、在庫や需要に応じた発注を行います。

定期発注方式の発注(イメージ)

発注サイクルは一定ですが、発注量は安全在庫を基準に必要な発注量を都度計算して発注します。需要やトレンドなど、状況によって柔軟に発注量を調整することが可能です。

定量発注方式との違い

定量発注方式は、定期発注方式と混同しやすい発注方法で、両者には以下の違いがあります。

発注方式 発注タイミング 発注量 適している商品
定量発注方式一定の在庫を下回ったタイミング毎回同じ・単価が安い商品
・需要が安定している商品
定期発注方式事前に設定した発注タイミング毎回変動・単価が高い商品
・需要が変動しやすい商品

定期発注方式はあらかじめ設定したタイミングで発注しますが、定量発注方式は一定の在庫数(発注点)を下回ったタイミングで、事前に定めた量を発注します。

定期発注方式は発注のたびに発注量を計算するため、需要変動が大きい商品や、売上に大きく影響する単価の高い商品を管理する際に適しています。一方で、定量発注方式は単価の安い商品や、需要が安定している商品に活用されることがほとんどです。

定期発注方式の計算方法

定期発注方式では、発注するタイミングで毎回発注量の計算が必要です。計算において、必要となる値は以下の3つです。

定期発注方式の計算(イメージ)
  • 発注量
  • 安全在庫
  • 発注サイクル

発注量の求め方

発注量 = (在庫調整期間 × 予想消費量 – 現在の在庫数 – 発注残) + 安全在庫

在庫調整期間は発注分が入荷するまでの調達期間、予想消費量は販売が見込まれる量です。そこから現在の在庫数と発注残を引き、安全在庫を加えた数が発注量になります。

安全在庫の求め方

安全在庫 = 安全係数 × 在庫使用量の標準偏差 × √(発注リードタイム + 発注間隔)

上記の発注量を計算するために、以下の流れでそれぞれの数値を算出する必要があります。

  • 安全係数を設定する
  • 標準偏差を計算する
  • 発注リードタイムと発注間隔を確認する

1. 安全係数を設定する

安全係数とは欠品を許容する割合のことで、欠品許容率に対する安全係数は以下の早見表の値を参考にすることが一般的です。

欠品許容率 安全係数
0.1%3.10
1%2.33
2%2.06
5%1.65
10%1.29
20%0.85

2. 標準偏差を計算する

標準偏差とは需要の平均値であり、過去の在庫使用量から算出します。Excel関数「STDEV」を用いると簡単に算出でき、在庫使用量のデータを用意するだけで計算が可能です。

3. 発注リードタイムと発注間隔を確認する

発注してから納品するまでの日数を示す「発注リードタイム」、発注から次の発注までの期間を指す「発注間隔」を確認しましょう。

以上のように、安全係数・標準偏差・発注リードタイム・発注間隔を計算式に当てはめれば、安全在庫を算出できます。

発注サイクルの求め方

発注サイクルとは、発注から次の発注までの間隔のことで、発注タイミングを決めるために計算が必要です。

発注サイクル = (年間営業日数 × 経済的発注量)÷ 年間需要量

経済的発注量とは、発注費用と在庫維持費用の合計がもっとも低くなる1回あたりの発注量のことで、計算式は以下のとおりです。

経済的発注量 = √{(1回の発注費 × 年間需要量) × 2 ÷ 年間在庫維持費用 }

最適なコストでの発注量を年間営業日数にかけ、年間需要量で割ることで、適切な発注サイクルを導き出すことができます。

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定期発注方式のメリット

定期発注方式の活用で期待できるメリットは、以下の3つが挙げられます。

定期発注方式のメリット(イメージ)
  • 発注漏れを防止し機会損失を回避できる
  • 在庫の最適化を実現できる
  • 需要や売上に応じて発注量を増減できる

発注漏れを防止し機会損失を回避できる

固定の発注タイミングを担当者で共有することで、発注漏れを防止できることがメリットです。発注漏れが発生すると、需要に対する在庫不足が起きる恐れもあるため、機会損失を回避する手段としても、定期発注方式の導入は効果的です。

在庫の最適化を実現できる

余剰在庫が発生すると在庫管理コストがかさみ、欠品が発生すると機会損失が発生する恐れがあるため、在庫管理では適正在庫を維持することが重要です。

定期発注方式は在庫状況に応じた発注量をその都度計算するため、適切な在庫数を保てます。安全在庫を基準に計算を行うことが基本ですが、適正在庫の基準も明確に設定することで、発注量の正確性が高まるでしょう。

需要や売上に応じて発注量を増減できる

定期発注方式は発注量を柔軟に変更できるため、需要の変化に対応できる点は大きなメリットです。例えば、ある商品がメディアで話題になったり、季節要因で需要が高まった場合は、発注量を増やすことで在庫を確保できます。トレンドやシーズンを過ぎた商品は、発注量を減らすことで余剰在庫の予防が可能です。

定期発注方式のデメリット

定期発注方式を活用する際は、以下3つのデメリットに注意しましょう。

定期発注方式のデメリット(イメージ)
  • 在庫や需要の予測が求められる
  • 管理リソースが発生する
  • 活用が難しいケースがある

在庫や需要の予測が求められる

発注量を調節できることは定期発注方式のメリットですが、商品ごとに需要や最適な在庫数は異なるため、売上やトレンドなどを商品ごとに把握している必要があります。

また、発注量に正解はないものの、判断次第で余剰在庫や欠品が発生する可能性があることから、在庫管理や需要予測には十分な経験とスキルが必要です。そのため、属人化するケースもあり、担当者の不在時でも運用できる体制を整える必要があります。

管理リソースが発生する

前述したように、定期発注方式は発注量を算出するにあたり、在庫確認やトレンド分析などに時間と手間がかかります。そのため、十分なリソースが確保できないと発注量の算出ミスが起きる可能性もあるため、担当者のリソースには気を付けましょう。

活用が難しいケースがある

例えば、需要が安定している商品の場合は、一定量を発注する定量発注方式の方が工数削減もでき、適していることが多いです。また、発注先の企業によっては最低発注量を定めている場合があるため、希望通りの発注量が叶えられないケースもあるため注意が必要です。

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定期発注方式を効果的に運用するポイント

定期発注方式を効果的に運用するポイントは、以下の3つが挙げられます。

定期発注方式の運用ポイント(イメージ)
  • 売上の7割を占める商品で活用する
  • 需要予測の精度を高める
  • システムを活用する

売上の7割を占める商品で活用する

どの商品が定期発注方式に適しているか判断する必要があります。発注量を調整できるため「欠品による売上への影響が大きい商品」に採用することが良いとされています。

この売上への影響度を判断するためには、売上を基準にランク分けを行う「ABC分析」が効果的です。ABC分析は、各商品の売上を算出したあと、下記のようにランクを分け、各ランクに適した発注方式を採用するといったものです。

  • Aランク:売上全体の7割を占める
  • Bランク:売上全体の2~3割を占める
  • Cランク:売上全体の1割にも満たない

Aランクの商品に定期発注方式を採用すると、売上を見込める在庫を維持しやすくなるというものです。それに対して、BランクやCランクはAランクに比べて売上への影響が少なく発注頻度も低いため、定量発注方式を採用する方が業務効率が向上します。

需要予測の精度を高める

定期発注方式では発注量の見極めが重要のため、正確な需要予測が求められます。各商品の売れ行きやトレンドなどを細かく分析し、適正在庫を維持できるように需要を把握しましょう。

ただし、需要予測は100%的中することは難しく誤差が生じるため、差分も含めて総合的な需要予測ができれば、より正確な発注をすることができます。

システムを活用する

例えば、在庫管理システムを導入することで、常にリアルタイムの在庫情報を把握できるため、より正確な発注量が算出できます。また、アナログな在庫管理や発注業務と比べると、人的ミスも削減します。

導入するシステムによって異なりますが、関連部署が扱うシステムとのデータ連携ができるようになると、商品ごとの需要予測や発注の重複防止など、発注の精度をより高めることも可能になります。

まとめ:定期発注方式を正しく活用しよう

定期発注方式を採用することによって、在庫状況や需要変動に応じて発注量を調整できるため、適正在庫を維持しやすくなり、機会損失の防止や在庫の最適化に効果的です。

ただし、商品の特徴(売上への影響や需要変動など)により適した発注方式が異なるため、定期発注方式が自社商品に適しているかを判断し、正しく活用しましょう。

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