コストセンターとは、企業や組織の中で直接的な利益を生み出さず、コストの最小化を目指す部署です。近年、企業の競争力強化などの理由から、コストセンターのプロフィットセンター化が求められる傾向にあります。
本記事では、コールセンターの例を中心にコストセンターとプロフィットセンターの違いから、プロフィットセンターへの転換手順およびポイントを解説します。
目次
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1コストセンターとは
コストセンターとは、企業や組織の中で直接的な利益を生み出さない部署を示します。
【コストセンターの具体例】
- 経理
- 総務
- 人事
- IT部門
- コールセンター
- 倉庫などの物流部門
会社全体の収益を上げるため、コストをできる限り削減し、業務を効率化することが求められる傾向にあります。
プロフィットセンターとは
一方でプロフィットセンターとは、企業や組織の中で利益を上げる役割を担う部署です。一般的には企業全体の利益に直接関わる部署が該当します。
【プロフィットセンターの具体例】
- 営業
- 企画
- マーケティング
- 経営戦略
2コストセンターとプロフィットセンターの違い
種別 | 役割 |
---|---|
コストセンター | 費用(コスト)の最小化 |
プロフィットセンター | 利益(プロフィット)の最大化 |
ただし、企業や業務内容によって、コストセンターとプロフィットセンターの捉え方が異なる場合もあります。コールセンターの場合は「問い合わせ窓口」として機能する場合、人件費や設備費などのコストが発生するコストセンターとして扱われることが一般的でした。
一方で、以下のようにコールセンターの応対品質がよく、商品やサービスの購入に影響がある場合は、利益を生み出すプロフィットセンターとして考えるケースもあります。
- 顧客満足度が高まる
- 他社との差別化に繋がる
- 潜在的な顧客ニーズを掘り起こす
このように、コストセンターとプロフィットセンターは逆の立場であっても、部署や役割によってどちらにもなり得る可能性があります。
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3コールセンターがコストセンター化してしまう原因
コールセンターがコストセンター化してしまう原因は、一般的に以下の2つが考えられます。
- オペレーター不足
- 企業活動のマイナスを減らす業務内容
たとえば、オペレーター不足のコールセンターにおいては、既存顧客の問い合わせやクレーム対応で手一杯です。このような状況では、新規顧客の獲得は難しいでしょう。
また、コールセンターの業務は、問い合わせの疑問解消や、クレーム対応がメインです。そのため企業活動においてプラスを生み出すよりもマイナスを減らすための業務が多く、コストセンター化する例は少なくありません。
4プロフィットセンター化とは
プロフィットセンター化とは、従来はコストの最小化を目指していたコストセンターを、利益を追求するプロフィットセンターへ変えることです。
コストセンターのプロフィットセンター化が求められる理由
コストセンターのプロフィットセンター化が求められる理由は、企業が今後も持続的に成長し、市場で生き残っていくためです。グローバル化による国際市場の広がりや、企業間競争が激しくなる現在では、企業全体で利益を追求しなければなりません。
従来、企業が取り組んできたのはコスト削減です。コスト削減はすぐに効果を実感することはできますが、長期的な効果は期待できず、品質低下を引き起こす可能性さえあります。
例えば、コスト削減のために商品梱包用段ボールの質を下げた場合、輸送中の箱潰れなどが増加し、破損や故障を発生させることがあります。これによって全体的な品質低下へ発展する恐れもあります。
このような状況を防ぐために、従来コストセンターだった部署も単にコスト削減するだけではなく「企業全体の競争力を高めるため」さらには「利益を生み出すため」の意識や工夫が求められるでしょう。
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5プロフィットセンター化するメリット
コストセンターをプロフィットセンター化するメリットは以下の3つです。
- 企業の市場競争力の向上
- 収益の改善
- 顧客満足度の向上
企業の市場競争力の向上
プロフィットセンター化により利益を上げる部署に変化するため、企業の市場競争力が向上します。これにより従来のコスト削減だけでなく、スキルアップや設備投資など、高い付加価値を生み出すための工夫を行うため、従業員の競争意識が高まるでしょう。
特にコールセンターの場合は、消費者からの声を商品やサービスの改善に利用することで、新たな価値や利益を生み出すことができます。例えば、問い合わせや相談事例の数は、多くの声を集めた権威性や信頼性の証になるため、競合他社との差別化にも大いに貢献するでしょう。
収益の改善
利益を上げるために従来の業務の見直す必要があるため、収益の改善に繋がります。一般的にコールセンターは無料の問い合わせ窓口と認識されていますが、有料のサポートに一部移行するとその分の収益を上げることができるでしょう。
顧客満足度の向上
クレーム対応一つにしても、丁寧に対応することで商品やサービスの改善にも繋がります。また、電話以外にテキストメッセージによる即時対応をすることで、利便性の向上や応対品質の改善に繋がります。その結果、顧客満足度の向上に貢献できるでしょう。
また、アフターサポート部門で定期的なメンテナンスサービスを取り入れることができると、さらなる顧客満足度の向上も期待できます。
6コールセンターをプロフィットセンター化する際の課題
コールセンターをプロフィットセンター化するにあたって、次の3つの課題が懸念されます。
- 関係部署との連携が少なく孤立しやすい
- 運営・管理担当者の仕事が多い
- 受け身の傾向がある
関係部署との連携が少なく孤立しやすい
コールセンターは運営管理の忙しさから、他部署と連携ができずに、孤立するケースも少なくありません。コールセンターから歩み寄ることも必要です。
解決策として、コールセンターの問い合わせ履歴の連携や、問い合わせ傾向分析の結果を共有することからはじめるのもよいでしょう。
運営・管理担当者の仕事が多い
コールセンターの運営・管理担当者の仕事は多岐に渡ります。とくに運営管理を1人で行うECショップや小規模運営の場合、利益を上げる業務まで手を広げるのは難しいでしょう。
【運営・管理担当者に求められる業務例】
- コールセンターのKGI、KPIの設定と達成状況の管理
- システムやツールの導入、管理
- マニュアルやトークスクリプトの作成、更新作業
- 受電数や応答率といった数値の測定と管理
- コールセンターの業務や顧客の声を関係部署へ発信
このように運営・管理担当者の仕事は多く、従来の業務で手一杯であると考えられます。
受け身の傾向がある
一般社団法人日本コールセンター協会の報告によると、コールセンターは問い合わせを待つインバウンドが約82.5%と多く、全体的に受け身の傾向です。
(参考:2023年度コールセンター企業 実態調査|一般社団法人日本コールセンター協会 情報調査委員会)
プロフィットセンター化するためには、アウトバウンドの要素を入れた内容にするなど、業務内容の見直しが必要です。例えば、コールセンターからのフォローアップコールを仕組み化し、提案を行う業務に転換する方法が考えられます。
7プロフィットセンター化の手順
具体的にコストセンターをプロフィットセンター化する手順を紹介します。
- 目標・目的を明確化する
- 役割分担と責任の所在を明確化する
- 適材適所に人員を配置する
- 部門間の連携を強化する
目標・目的を明確化する
目標・目的が曖昧な状態でプロフィットセンター化してしまうと、業務に落とし込んだ際に着地点が見えず、反対に従業員の混乱や、モチベーション低下になる恐れがあります。コストセンターをプロフィットセンター化する際は、最初に目標や目的を設定しましょう。
役割分担と責任の所在を明確化する
目標・目的を定めたあとは、部署が負う役割分担や、責任の所在の明確化を行います。各部署の責任範囲や役割分担は、現在の業務の棚卸しと整理から行うとよいでしょう。
部署の責任範囲が曖昧な場合は、評価に繋がらない仕事が置き去りになる可能性があります。他部署とも確認しながら、役割分担と責任の所在を決めていきましょう。
適材適所に人員を配置する
コストセンターをプロフィットセンター化すると、業務内容が大きく変わる場合もあります。従来の人員でリソース不足となる場合は、人材の確保なども含め、適材適所に人員を配置する配慮も必要です。
部門間の連携を強化する
他部門との連携を強化すると、プロフィットセンター化の成功につながります。例えば、コールセンターで問い合わせを受け、営業部門の有料のサービスを案内する場合は、日頃から部門同士での信頼関係の構築ができていれば、円滑に引き継ぐことができます。
スムーズな案内と部門間の連携は、途中で消費者が離脱する可能性も減り、利益の向上に繋がるため、日頃より部門間のコミュニケーションを行うことが重要です。
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8コストセンターからプロフィットセンターへ転換する例
コストセンターからプロフィットセンターへ転換する例を2つ紹介します。
- コールセンター
- 物流
コールセンター
コールセンターでは、ハード面・ソフト面双方から以下の改善ができると考えられます。
ハード面
ハード面は、コールセンターのシステム改善で対策します。電話が繋がりやすい環境の構築や、オペレーターの操作性向上により相談者を待たせない仕組みを構築することができます。
ソフト面
ソフト面の対策は、顧客満足度向上による売上拡大です。コールセンターの応対品質を改善し、顧客満足度を向上させることで企業の信頼性も上がり、結果として商品やサービスの購入に繋がると考えられます。
また、問い合わせ内容の傾向を分析してマーケティングに活用することで、商品やサービスの改善も可能になります。
物流
物流部門も従来はコストセンターとして発送などの出荷業務や受発注管理を行うと考えられますが、以下の工夫によりプロフィットセンター化を検討できます。
物流管理システムの導入
物流管理システムの導入により、受発注データの収集や分析が可能です。季節性の傾向などを数値化することにより、出荷波動の分析やサービス改善に役立ちます。
流通加工の工夫
流通加工に力を入れ、ラッピングや梱包、ギフトの詰め合わせを行うことで商品価値を高め、購買意欲を高めることにも効果的です。
9コールセンターをプロフィットセンター化するポイント
コールセンターをプロフィットセンター化するためには、以下4つのポイントを押さえるようにしましょう。
- 適切なKPIの設定
- 運営人材の育成・強化
- アウトバウンドの取り組み強化
- アウトソーシングの活用
適切なKPIの設定
コールセンターの重点項目である顧客満足度の向上と収益性のビジョンを明確にし、適切なKPIを設定します。
コールセンターのKPIには、具体的には応対品質に関する応答率や応答速度、生産性に関する稼働率などがあります。自社の状況にあったKPIを選びましょう。
運営人材の育成・強化
コールセンターの運営人材を強化しましょう。なぜなら、コールセンターの運営管理者がプロフィットセンター化の目的やプロセスを理解し、コールセンターの従業員をまとめ、リードする必要があるからです。
たとえば企業が主体となり、プロフィットセンター化に対応できる運営管理者を育成する研修や、セミナーなどを実施するのもよいでしょう。人材の強化につながります。
アウトバウンドの取り組み強化
コールセンターがインバウンド業務のみに注力していると、新規顧客の獲得は難しいです。可能であればアウトバウンド業務も取り入れ強化することで、増益に繋げましょう。
ただしコールセンターの性質によっては、アウトバウンド業務の取り組みが難しいケースもあります。その場合はコストセンターとしてのコスト削減を行いながら、企業全体の増益を支えることも大切です。
アウトソーシングの活用
プロフィットセンター化のための取り組みが難しい場合は、アウトソーシングの活用を検討しましょう。コールセンターの運営管理業務をアウトソーシングすると、関係部署との連携業務にリソースを投入できるようになります。一時的な活用だけでも、コールセンターのプロフィットセンター化がスムーズに進められるでしょう。
10まとめ:コストセンターをプロフィットセンター化し利益を上げよう
コストセンターをプロフィットセンター化することで、企業競争力の強化や収益性の改善に繋げることができることがわかりました。
コールセンターのケースでは、問い合わせ対応で収集した声を分析し、企業全体に還元できるようになると、プロフィットセンターとして利益を上げることが可能になります。
プロフィットセンター化の実現には、目的や目標を定め、部門での責任所在を明確化し、各部門と連携を強化することがポイントですが、さらなるリソースが必要になるため、自社での実現が難しい場合はアウトソーシングを利用することも1つの方法です。
当社では、コールセンターのインバウンドからアウトバウンドまで、さまざまな業務をアウトソーシングいただけます。コールセンターに関わるプロフィットセンター化をご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。
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