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静脈物流(リバースロジスティクス)とは?動脈物流との違いや課題を解説

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静脈物流(リバースロジスティクス)とは

静脈物流(リバースロジスティクス)とは、生産者から消費者への一連の流れに伴い発生する物流(動脈物流)に対して、消費者側からの働きかけに伴い発生する物流のことをいいます。静脈物流には、主に商品の返品や不用品のリサイクルなどが含まれます。

本記事では、静脈物流の重要性や種類、動脈物流との違いを解説します。

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静脈物流(リバースロジスティクス)とは?

静脈物流(リバースロジスティクス)とは、消費者側からの働きかけに伴い生産者へ逆流する物流のことをいいます。生産者と消費者間にある商品の流れを血液の循環に見立て、消費者から返品やリサイクル品を回収する物流を静脈物流と呼んでいます。

静脈物流 トラック(イメージ)

元々は販売した商品の損傷・期限切れなどによる返品のみが静脈物流と呼ばれていましたが、環境問題への関心が高まったことで、リサイクルや再資源化に伴う物流も静脈物流に含まれるようになりました。

循環型社会に注目が集まっているためです。
従来の大量生産・大量廃棄による環境への影響が問題視され、資源をより効率的に利用するために、静脈物流が必要とされています。

動脈物流との違い

動脈物流とは、静脈物流とは反対に、原材料を調達し、商品を製造して、消費者に移動する一連の流れに伴う物流のことです。静脈物流と同様に、物流を血液の循環に見立てて動脈物流と呼ばれます。

【動脈物流の種類】

種類 内容
調達物流製造に必要な部品・原料の調達に伴う物流
社内物流(生産物流)自社の設備間で商品や原料の輸送に伴う物流
販売物流消費者への商品発送に伴う物流

静脈物流の種類

静脈物流は、大きく以下3種類に分けられます。

静脈物流 箱(イメージ)
  • 回収物流
  • 返品物流
  • 廃棄物流

回収物流

回収物流とは、資材や機器、使い古した商品など、あらゆる荷物の回収に伴う物流のことです。業界によっては、欠陥・不備が見つかった商品の回収(リコール)を回収物流と呼ぶケースもあります。

他にも、輸送に使用したパレットやコンテナを回収する輸送も、回収物流の一部です。
商品として再利用ができなくても一部の部品を流用できるケースは多いため、回収物流はリサイクルに伴う物流として重要な役割を果たしています。

近年では循環型社会の実現に向けて、リサイクルを目的とした回収物流が重要視されています。

返品物流

返品物流は、あらゆる商品の返品に伴う物流のことで、回収物流とは異なり消費者側からの働きかけにより商品を返送することで発生します。

商品の初期不良により発生した返品は生産者側が責任を取るケースが多く、返品に伴う送料負担や、返金をする必要があるため、返品物流が発生しただけ損失が発生します。

ただし、注文ミスや交換依頼などのケースでは、返品に伴う送料は消費者側が負担することがほとんどです。

廃棄物流

廃棄物流とは、処分に伴い発生する物流のことです。回収やリサイクルができない商品は、基本的に廃棄することになります。

種類 特徴 処分方法
一般廃棄物一般家庭から出る廃棄物各自治体が無料で回収・処理
産業廃棄物生産者の活動によって生じる廃棄物産業廃棄物は専門の業者に依頼して収集

廃棄の際は、商品が本当に再利用できないのか熟考しましょう。分解して部品にしたり、再資源化を検討して、可能な限り廃棄を抑えることが重要です。
また、環境負荷を抑えるために、最適な物流の下で廃棄してください。

静脈物流の重要性

環境に対する法規制の整備が進み、SDGsをはじめとする環境保護の動きが活発化している現在、静脈物流の重要性は高まっています。

静脈物流(イメージ)

ひと昔前は商品を大量生産・販売し、不要になったら廃棄する時代でしたが、資源や環境に関する問題が一般に知られるようになった現在では、環境への意識が大きく変化しています。

そのなかで、静脈物流は環境問題へのアプローチや、持続可能な循環型社会の実現においても重要な役割を担っているといえるでしょう。

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静脈物流の課題

静脈物流の課題は、主に以下の2つが挙げられます。

静脈物流(イメージ)
  • コストや工数が増える
  • 物量の予測が難しい

コストや工数が増える

不要な商品や廃棄物を回収するには、輸送費や人件費、保管費が必要です。また、回収した商品の仕分け・処理には、専門の設備が必要なケースもあります。

このようなコストを各企業に負担させていると、静脈物流を構築する生産者が増えず、普及が進みません。静脈物流を普及させるためには、公的な補助や支援が必要です。

物量の予測が難しい

返品や廃棄される商品が出る量は以下のような要因に左右されるため、静脈物流は動脈物流とは異なり物量予測が困難です。

  • 消費者のニーズ
  • 消費者の行動
  • 商品の寿命
  • 商品の種別

物量を予測するためには、IT技術を利用した情報管理・分析が効果的です。回収の需要を予測したり、回収する商品のトレーサビリティを高めることで、回収物量を高い精度で予測できます。

静脈物流の課題を解決する方法

静脈物流の課題を解決するには、以下2つの方法が効果的です。

静脈物流(イメージ)
  • 返品に対応可能な体制の構築
  • 商品情報の充実・詳細化

返品に対応可能な体制の構築

返品対応は消費者の満足度や信頼感を高めるために重要なサービスですが、同時に物流コストや人的リソースの負担も大きくなります。例えば以下のように、返品に対応できる体制を構築できると、返品物流のスピードや精度の向上が可能です。

  • 返品フローの整備と自動化
  • 返品商品の再利用や再販

返品手順をわかりやすく案内することで、消費者側のストレスを抑えられクレームの抑制が可能になるだけでなく、返品対応業務の効率化にもつながります。また、返品された商品をアウトレットやオークションなどで販売することも効果的です。

商品情報の充実・詳細化

例えば以下のように、商品情報を分かりやすく伝えることで、消費者からの「イメージと違う」といった理由での返品を抑えることも可能です。

  • サイズ・色を詳細に伝える
  • 説明文や画像を増やす

商品のサイズや色味を詳しく記載することで、消費者が抱くイメージと実際の商品との乖離を少なくすることができます。また、商品説明文を詳しく書いたり画像を増やすことができると、商品の魅力がより伝わりやすくなるでしょう。

まとめ:環境負荷の削減に重要な静脈物流

静脈物流(リバースロジスティクス)とは、消費者側からの働きかけに伴い発生する物流のことで、主に回収・返品・廃棄の際に利用されるほか、リサイクルや再資源化などの際にも使われます。

環境問題へのアプローチや循環型社会の実現においても重要な物流といえるでしょう。

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