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物流 (在庫管理)

理論在庫とは?実在庫との違いと棚卸差異が生じる原因やリスクを解説

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理論在庫とは?実在庫との違い 棚卸差異が生じる原因、リスク

理論在庫とは、入出庫、返品や廃棄といった在庫の移動を都度反映・記録された「帳簿上(データ上)の在庫」を指します。「実際に手元にある在庫」を指す実在庫との差異が大きくなると、在庫切れによる機会損失にも繋がるため、適切な管理が必要です。

本記事では、理論在庫とは何か、実在庫との違いや棚卸差異が生じる原因やリスクについて解説します。

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理論在庫とは

理論在庫とは、入出庫、返品や廃棄といった在庫の移動をあますことなく記録した帳簿上(データ上)の在庫のことです。

理論在庫とは(イメージ)

たとえば、商品を100点発注しても入庫数がそのまま100点になるとは限りませんし、販売後にも返品が生じ、在庫数が変動する可能性があります。

理論在庫はこのような在庫移動を追跡し、都度記録します。

理論在庫を記録する目的は、余剰在庫や在庫切れを最小限に留め、適切な管理をすることです。在庫管理が徹底されると在庫の維持コストや機会損失リスクを低減できます。

実在庫との違い

実在庫とは、実際に倉庫や営業所にある在庫の数です。 適切な在庫管理ができている場合、理論在庫と実在庫の数は一致します。
数が合わない場合は、原因を究明し、在庫管理の方法を見直しましょう。

理論在庫と実在庫の棚卸差異とは

理論在庫と実在庫の棚卸差異(イメージ)

理論在庫と実在庫のズレは棚卸差異と呼ばれ、以下のようなトラブルの原因となるため、棚卸差異を発生させないように改善が必要です。

【棚卸差異によるリスク】
発生トラブル リスク
在庫切れ 理論在庫に対して実在庫が少ない場合、在庫切れを起こしていても気づかないことがあり、顧客へのスムーズな発送を妨げる恐れがある
余剰在庫の発生 理論在庫に対して実在庫が多い場合、本来必要のない発注を行ってしまい、余計な在庫コストの発生やキャッシュフローの悪化を招く恐れがある

棚卸差異率の計算方法

日頃から棚卸差異率「棚卸差異率 =(実在庫 – 理論在庫)÷ 理論在庫」を算出し、数値化して管理することで、在庫切れや余剰在庫の発生を予防できます。

棚卸差異率の許容数値と理想数値

棚卸差異率は(企業によって評価の範囲は異なりますが)、一般的には最大5%まで許容され、理想的な数値は2%以下であるといわれています。
棚卸差異が許容数値を超えている場合は、すぐに対処が必要です。

棚卸差異率の危険数値

棚卸差異率の危険数値は、10%以上とされています。 棚卸差異率が危険数値を超えると、売上減少や余計なコストの発生を招く恐れがあるため、早急に改善しましょう。

【実在庫が100点とした際の理論在庫の例】

  • 許容数値:95点以上
  • 理想数値:98点以上
  • 危険数値:90点以下

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理論在庫と実在庫の棚卸差異によるリスク

棚卸差異によるリスクはさまざまですが、例えば以下の2つがあげられます。

理論在庫と実在庫の棚卸差異によるリスク(イメージ)
  • 余剰在庫による売上の減少
  • 機会損失発生による顧客満足度の低下

余剰在庫による売上の減少

実在庫に対して理論在庫が少ないケースでは、本来必要のない発注を行うことで余剰在庫が増え、さまざまな面でマイナスの影響が生じます。

【余剰在庫の影響例】

  • 値下げ販売や廃棄を強いられ売上が減少する
  • 長期間の保有で品質が劣化する
  • 倉庫スペースを圧迫し、維持・管理コストが発生する
  • 本来必要のない管理業務が発生する

最終的に売上減少を招くことになるため、余剰在庫が発生しないように在庫管理を徹底しましょう。

機会損失発生による顧客満足度の低下

ECショップなどで、実在庫に対して理論在庫が多いケースでは、商品購入後に在庫切れが発覚することがあります。その結果、配送の遅延や注文キャンセルが発生し、顧客満足度の低下を招く原因になります。

これが繰り返されると既存の顧客離れが進み、口コミが広がると新規の顧客獲得にも影響します。このような事態を招かないためにも、適切な在庫管理を行うことが重要です。

理論在庫と実在庫に差異が生じる理由

理論在庫と実在庫の差異が生じる理由はさまざまですが、その中から次の4つを紹介します。

理論在庫と実在庫に差異が生じる理由(イメージ)
  • 入出庫処理のミス
  • 在庫管理ルールが曖昧
  • 在庫の移動と処理のタイムラグ
  • 在庫の紛失

入出庫処理のミス

入出庫時点で在庫数の数え間違いや入力ミスがあると、棚卸差異が発生するため注意が必要です。特に1番多いのが入荷時の検収ミスです。

例えば、30個の入荷予定だった商品が、実際には29個しか入荷されなかったが、入荷検収時に差異を見付けられずに「在庫30個」と登録してしまうようなケースです。

入荷検収時の数量確認方法は、1商品ずつ数を確認する「ピース検収」と、納品されたケースごとに数える「ケース検収」の2通りがありますが、在庫差異は複数商品が混載された状態で入荷されたり、見た目の判別が難しい商品が同時に入荷されたりする場合などに発生することが多い傾向にあります。

在庫管理ルールが曖昧

在庫管理ルールが曖昧だと、作業員によって管理方法にバラつきが生まれ、棚卸差異が発生しやすくなります。以下のようなプロセスで在庫数が変化した場合は、正確に反映する必要があります。

【反映する必要があるプロセス】

  • 入出庫による在庫の出入り
  • 管倉庫や店舗間での在庫移動
  • 在庫調整
  • 返品処理
  • 廃棄処理

在庫管理の関係者にはルールを周知徹底し、同じ手法で管理できるよう整備しましょう。

在庫の移動と処理のタイムラグ

売上がつかないような以下の「イレギュラーな出荷業務」が発生する際は、入力ミスや在庫数の更新漏れなどに注意が必要です。

【イレギュラーな出荷業務例】

  • モニター提供
  • サンプル提供
  • イベント時の商品提供
  • 販促活動(撮影など)の商品提供

これらが発生する場合は正しく迅速に更新処理ができないと、在庫の移動と処理のタイムラグが生じ、一時的な棚卸差異が発生する場合があります。
処理が終わると棚卸差異は無くなりますが、タイムラグ発生中に売れるはずだった在庫が売れないといった問題が生じます。

もしタイムラグが頻発し在庫管理に影響が出ているなら、早急な改善が必要です。定期的な確認を欠かさず、必要に応じて新たなシステムの導入を検討しましょう。

在庫の紛失

在庫を移動する中で紛失や盗難が発生すると、棚卸差異が発生します。
手入力で更新する場合は、在庫が見えなくなりやすいことから注意が必要です。人的ミスの削減はもちろんのこと、監視カメラの設置などの対策が求められます。

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理論在庫と実在庫の差異を起こさない方法

理論在庫と実在庫の棚卸差異を起こさせないためには、次の3つの方法が有効です。

理論在庫と実在庫の棚卸差異を防ぐ(イメージ)"
  • 在庫管理ルールを決める
  • 在庫管理システムの導入・自動化
  • 棚卸を定期的に行う

在庫管理ルールを決める

具体的なルールは、取り扱う商品や業界によって異なりますが、次の一般的な項目については、詳細に決める必要があります。

【在庫管理ルールの例】
項目 概要
在庫数 在庫切れや余剰在庫の発生防止のために、最大・最小在庫数を設定する
注文 発注数や発注タイミングを設定する
入出庫・検品手順 入出庫・検品手順を明確にすることで、棚卸差異の発生を予防する
在庫の保管場所 保管場所(ロケーション)を細かく設定し、紛失や盗難を予防する
在庫移動 在庫の移動手順やルートを明確にし、誤出荷や紛失を予防する
棚卸 棚卸のタイミングや作業手順を明確にし、棚卸差異の発生を予防する
廃棄・検品手順 廃棄・検品手順を明確にすることで、理論在庫の管理を適切に導く

在庫管理システムの導入・自動化

入出庫処理では、在庫数を手入力する際に棚卸差異が起きやすくなります。人的ミスを減らすためには、システムを導入し自動化させることが有効です。

バーコードスキャナやRFIDを用いて商品をスキャンすると、リアルタイムで在庫の動きを追跡・システム反映ができるため、スピーディーかつ正確な在庫管理が可能です。
導入時には取り扱い方法を覚える必要がありますが、慣れれば作業の効率化や人員削減にも繋がります。

棚卸を定期的に行う

棚卸を定期的に行うことで、棚卸差異の発生状況をこまめに確認でき、改善しやすくなります。また、在庫データの精度を維持するためにも有効です。
定期的に棚卸を行う場合は、時間や人員を割かずに管理できるように、システムの導入によって自動化を取り入れることも検討しましょう。

まとめ:理論在庫と実在庫の差異をなくそう

理論在庫とは、在庫数の変動を都度反映し記録する帳簿上(データ上)の在庫のことで、実際に手元にある在庫(実在庫)と数が一致することが理想です。

在庫管理が適切でないと棚卸差異が生じ、売上減少や余計なコストの発生といったキャッシュフローの悪化を招きます。適切な在庫管理のためにはシステム導入による自動化が望ましいですが、導入が難しいケースも少なくありません。その場合は、在庫管理のアウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか。

当社では、長年培ってきた知見やノウハウを凝縮した物流代行サービスを提供しています。適切な在庫管理や効率化など、少しでも課題をお持ちでしたら、お気軽にご相談ください。

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