競合が乱立するEC業界で存在感を示すには、顧客満足度を高め、他社との差別化を図ることが重要です。ECサイトから発送される商品の梱包資材や梱包の方法によって、サイトや運営母体に好感を持つ一方で、ネガティブなイメージを持つことも珍しくありません。
本記事では、顧客満足度を高める施策の中でも、特に「梱包作業」に注目して、その重要性や手順のほか、資材の種類や選び方について解説します。併せて、ギフトラッピングで求められる対応についても見ていきましょう。
目次
物流アウトソーシングの
検討時期やポイントを解説!
※委託先選定チェックリスト付き
1ECサイトでの梱包の重要性
ECサイトでものを購入すると、必ず何らかの形で梱包された状態で届くため、商品より先に目に入ることになります。
商品サイズに合わない段ボールでの過剰包装や、壊れ物にも関わらず簡易包装で届くと、いい印象を持てないため、今後そのECサイトでの注文は控えるようになります。
裏を返せば、適切な梱包により消費者をファン化することも可能なのです。
また、利益を高める意味でも、梱包は大切な役割を担っています。商品の送料は商品単体ではなく、梱包後のサイズや重さによって決まるからです。
一方で、梱包のコスト削減によって商品への負担が増加してしまうようであれば、商品破損などの深刻なトラブルに繋がりかねません。
EC通販事業者には、消費者の満足度を高めながらも、最適な資材で安全性の高い梱包をすることが求められます。
2ECサイトで実践すべき梱包の手順
商品に負担をかけずに、かつ過剰包装にならないように梱包を行うためには、基本的な手順があります。スムーズな梱包作業は、下記6つのステップで進めることができます。
- 商品に合わせて梱包材を選ぶ
- 梱包材の下部にテープを貼り強度を高める
- 箱詰めを行い、隙間に緩衝材を入れる
- 緩衝材で割れ物を1つずつ包む
- 同梱物を商品の上に置く
- 箱の開閉部にテープを貼る
1. 商品に合わせて梱包材を選ぶ
梱包材は、商品の特性に合ったものを選ぶことが重要です。梱包材の種類には箱や袋などの形状タイプに加え防水性や耐久性に優れた材質タイプなどもあります。
商品の破損防止や、可搬性を意識して、商品の大きさや性質、重量、容積などに合った梱包材を準備します。
取り扱い商品が多岐にわたる場合は、複数のタイプの梱包資材を用意しましょう。商品ごとに適した梱包資材のピックアップには時間がかかるため、資材の保管方法・保管場所などを工夫することで、作業時間短縮を図ることができます。
2. 梱包材の下部にテープを貼り強度を高める
商品と同梱物を詰める前に、箱の下部にテープを貼ります。
せっかく良い梱包をしても、箱の底が抜けたり、テープがはがれたりしては台無しです。
そのため、主に以下3種類の貼り方で箱の強度を高めます。
貼り方 | 方法 |
---|---|
十字貼り | 箱の上下左右に向かって貼る |
I貼り | 開閉部の中心を1本で止める |
H貼り | 開閉部の中心を横に止めた後、左右をまっすぐ補強する |
3. 箱詰めを行い、隙間に緩衝材を入れる
商品を箱に詰め、緩衝材で隙間を埋めて商品を保護します。
荷物に対して箱が大きい場合は中央に寄せて置き、緩衝材をしっかり詰め込むことがポイントです。
4. 緩衝材で割れ物を1つずつ包む
食器類など割れやすいものは、一つひとつを緩衝材で包んでから梱包します。
複数個を一緒に梱包する際は、それぞれがぶつかり合って割れないよう、個別に包んで入れてから間を緩衝材で埋めていきます。
5. 同梱物を商品の上に置く
同梱物とは、以下のように購入商品と一緒に送る印刷物や品物のことです。
【よくある同梱物の例】
- 納品明細書
- 商品パンフレット
- お礼の手紙
- チラシ
- 試供品
- プレゼント
せっかくの顧客接点を無駄にしないよう、リピートや追加購入に繋げるためにも、質の高い同梱物を商品と一緒に送ることで消費者にアピールしましょう。
同梱物はメインとなる商品の上に、わかりやすいように置くことで、消費者が開封した瞬間、目に留まるようになります。
6. 箱の開閉部にテープを貼る
商品と同梱物を詰め終わったら、箱の開閉部にテープを貼ります。
ある程度の強度は必要ですが、開梱時に手間にならないように過剰な強度の貼り方にはならないよう注意しましょう。
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3ECサイトで必要な梱包資材の種類と特徴
商品の特性に合った最適な資材を選ぶために、資材の種類と特徴を把握しておくことは重要です。ECサイトの梱包に用いられる代表的な資材としては、主に下記の8種類が挙げられます。
- 段ボール
- 宅配袋
- 宅配ビニール袋
- 封筒・メール便ケース
- クッション封筒
- 緩衝材
- 梱包用テープ
- ラッピング用品
段ボール
ECサイト名、ブランド名などが入った段ボールは、梱包資材の代表格です。様々なサイズが用意でき、多様な商品に対応できることもメリットです。割れ物や、しわになりやすい素材の洋服などに適しています。
宅配袋
宅配袋は、比較的小さな商品の梱包に適した紙製の資材です。防水加工や破れにくいタイプなどがあり、大手配送業者はオリジナルの宅配袋を販売しています。
宅配ビニール袋
アパレルEC通販事業者を中心にビニール製の宅配袋が使われています。宅配袋より安価で、防水性に優れており、かさばりにくいため保管もしやすくなります。
封筒・メール便ケース
小型の文房具やアクセサリーなどの梱包には、封筒やメール便ケースも活躍します。デザイン性を高めやすく、ブランディングに活用することもできます。
クッション封筒
クッション封筒は、内側にエアクッションなどの緩衝材がついており、商品を衝撃から保護するタイプの封筒です。サイズが小さくて割れる危険があるCD・DVD、壊れやすいアクセサリーや小型の電子機器などを安全に送りたいときに適しています。緩衝材を詰める手間がないため、その分のコストや作業時間の削減にもつながります。
緩衝材
商品をただ梱包するだけでは、配送時に傷や・破損が発生するリスクが高まります。そこで、壊れやすい商品を衝撃から保護するために緩衝材を利用します。
緩衝材は、主に以下の4種類に分けられます。
緩衝材名 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
エアキャップ (気泡緩衝材) |
ポリエチレンシートの上に粒状の気泡が並んだ緩衝材 | ビンやガラス製品など、壊れやすい商品の梱包や、箱の中の隙間埋めて商品を固定するなど、幅広い使い方ができる |
エアー緩衝材 (エアークッション・空気緩衝材) |
ピロー型や「プチプチ」型などの空気が入った緩衝材 | 商品と箱の隙間を埋めるほか、底部に敷けばより商品を衝撃から保護することができる |
紙製緩衝材 | クラフト紙などでできた紙製の緩衝材 | 食器やワインなどの梱包や、丸めて隙間を埋めることに最適。環境にも優しく、かさばらないので保管しやすい |
発泡ポリスチレン (発泡スチロール) |
軽量で断熱性に優れている緩衝材 | 空気を沢山含むので保温性・保冷性に優れ、加工しやすい。生鮮食品や家電などの梱包に使われることが多い |
梱包用テープ
梱包には、テープも欠かせないアイテムです。主に以下の3種類が使用されます。
梱包用テープ名 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
布テープ | 布で作られた包装用のテープ | 頑丈でありながら、手でまっすぐに切ることができる。重ね貼りができるため、重量がある商品の梱包に向いているが、若干コストは高め |
ビニールテープ | よく伸びて燃えにくく、電気絶縁性があるテープ | 低温の環境に強い反面、高温だと粘着剤がべたべたになりやすいため注意が必要。手でまっすぐ切ることは難しいが、適度な強度があり、比較的安価。 重ね貼りもできるため、一般的な商品の梱包でよく使用される |
クラフトテープ | クラフト紙で作られたテープ | 多くは表面にラミネート加工が施してあり、耐水性・撥水性に優れていて、安価。重ね貼りや表面に字を書くことはできず、強度は低め |
ラッピング用品
ギフト発送に対応しているECショップの場合、以下のようなラッピング用品も準備する必要があります。
- ラッピング用包装紙
- ギフトボックス
- ギフトバッグ
- リボン
- テープ
- シール
ラッピング用品が充実していると顧客満足度は高まりますが、種類を増やしすぎると管理や作業の負担が大きくなります。
梱包に使うアイテムは厳選し、ラッピングの技術を高めることも1つの手段です。
4梱包資材選びのコツ
梱包資材の種類は、前述のとおり多岐にわたります。
消費者の安心感と満足感に繋がる梱包資材を選ぶためには、下記2つのポイントを押さえておきましょう。
- 商品のサイズ・特徴によって決める
- コストを抑えられる資材を選ぶ
商品のサイズ・特徴によって決める
梱包材選定時の基本的なポイントは、商品のサイズや特徴に合わせることです。
商品に対して梱包材が大きすぎる、商品が壊れやすいのに梱包材の強度が弱いなどの問題があると、破損リスクを減らすために沢山の緩衝材が必要となり、コストと作業時間が増大するため送料も高くなります。
「過剰包装でもったいない」「たくさん緩衝材が使われていて、ゴミが出て困る」「無駄が多く環境に優しくない」といったマイナスの印象を消費者に与えてしまう可能性もあるため、商品特性に応じた資材選びは重要です。
コストを抑えられる資材を選ぶ
梱包材は、商品が売れるたびに使用する資材です。できれば、1種類の資材を複数商品の梱包に使うなどして、コスト削減を図ることが望ましいでしょう。
梱包資材にはさまざまな種類があり、それぞれに「手軽」「衝撃に強い」「撥水性がある」といった特徴があります。商品を安全に運べる資材で、かつコストを抑えられるものを選定しましょう。
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5ECサイトのギフト発送は柔軟な対応が必要
ECサイトが成長し、購入者が増えれば、ニーズに沿ったギフト発送へのさまざまな対応が必要になるケースも出てきます。
ギフト発送を行う場合、多くの配送を捌きながら、消費者ニーズに合わせた梱包を行い、満足度を高めていかなくてはなりません。
特にギフト商品では、用途によってカスタマイズできる柔軟な対応力が求められます。
例えばクリスマス・母の日・父の日・敬老の日などの季節限定ギフトでは、「ラッピングにタグやシールを付けて、メッセージカードも添えたい」というニーズが多い傾向にあります。
またお子様へのプレゼントでは、男の子用・女の子用でラッピング資材の色を分けることができると大変喜ばれます。
そのほか「熨斗対応」や、プレゼント用に複数商品をまとめて箱詰めする「アソート対応」など、用途に応じて求められるニーズはさまざまです。
6ギフト発送に欠かせない機能とは
ギフト商品のお届けにおいて欠かせない機能を、当社の事例と合わせてご紹介します。
ラッピング対応
贈る側と贈られる側の最初の接点であり、感謝の気持ちと感動をお届けできる演出の1つがラッピング。
ラッピングの種類は箱タイプや巾着タイプなどがあり、箱タイプでは、百貨店などで良く見かける「斜め包み(デパート包装)」や「キャメル包装」、「リボン巻き」など、用途に応じて梱包方法が異なります。
事例:箱タイプから巾着タイプ・資材提案まで対応
箱タイプから巾着タイプまで、様々なラッピングに対応。誕生日プレゼントや母の日・父の日などのギフト包装もお任せください。
当社用意の資材から事業者様指定のオリジナル資材まで対応可能です。ご要望に応じてご提案します。
箱+包装紙+リボンの組み合わせで、当社では20~30パターンの対応実績あり!
用途に合わせた熨斗対応
お祝い事(慶事)やお悔やみ事(弔事)などのフォーマルなギフトECでは、熨斗対応を希望する購入者も少なくありません。熨斗のかけ方(内熨斗・外熨斗)や水引の種類、表書きや名入れなど、その組み合わせはご利用の用途に応じて異なります。
事例:さまざまなサイズ・印字にも対応
出荷指示データに基づいて表書き・名入れ印字します。美濃版から短冊タイプまで、さまざまなサイズに対応します。
お中元やお歳暮、お悔やみ事まで、大切な節目にお届けする際の熨斗対応もお任せください。
メッセージカードの同梱
ギフトECを利用する方の中には、商品と一緒にメッセージカードを同梱したい人も少なくありません。
メッセージカードを添えることで、普段なかなか会うことができない相手へ気持ちを伝える手段として、とても喜ばれるギフトアイテムです。定型文メッセージのほか、希望メッセージ(フリーテキスト)の印字サービスまで、通販ショップによって対応範囲は異なります。
事例:定型文からフリーテキスト・印字にも対応
商品へのメッセージカード同梱はもちろんのこと、定型文から希望メッセージ(フリーテキスト)まで対応可能。
印字も当社にお任せください。
アソート対応
ギフト用のセット商品など、複数の商品を詰め合わせてまとめて梱包するアソート対応も、ギフトECでは必要です。季節のイベントや用途に合わせて商品を変更したりなど、柔軟な対応が求められます。
事例:化粧箱の組み立て・アソート構成品のセット(箱詰め)
通常の梱包作業とは異なるアソートセットの作成に対応。
化粧箱・内容物・同梱物など、各種入荷されたアソートセットを構成する部材を
管理し、クライアントのご指示に基づいたセット加工が可能です。
複数お届け先対応
(必須ではありませんが)ギフトECの利用者に喜ばれる機能として、複数お届け先対応があります。例えば1回の注文で複数商品を購入し、それをお届け先別に「ギフトA」「ギフトB」「自分用」に振り分け指定ができるなどの、ギフトEC特有の発送方法です。
事例:1注文で複数お届け先のギフト対応
出荷指示データに基づいて、発送先別に熨斗やラッピングの有無、梱包資材の種類を分けるなど、複雑な条件にも対応。
※受注処理やカート側のシステムとWMSとの連携が必要になるため、実現に向けたご提案もいたします。
7ギフト対応にかかるコストも課題の1つ
上記のとおり、ギフト対応にはさまざまな施策がありますが、実装におけるコストについても課題の1つになるのではないでしょうか。コストの算出方法として、資材費と梱包作業費との折り合いで決めていくことが一般的です。
当社では、EC通販事業者様の希望コストに合わせてご提案をしています。
事例を少しだけご紹介します。
ギフト対応範囲の調整
細やかな指定ができるギフト対応に比例するように、コストも高くなってきます。熨斗やラッピングの種類を少なくするなど、対応範囲を調整することでもコスト削減につながります。
自社商品がどのようなギフト用途で利用されるケースが多いのかを把握し、ギフト対応の範囲を検討することも大切です。
梱包作業の簡素化
ダンボール箱から巾着の利用に変更することにより作業の簡素化につながり、緩衝材を含めた資材費・梱包作業費を抑えることが可能です。更に発送サイズが小さくなることで、配送費の削減にもつながります。
- 改善前:小さなダンボール箱を使用 ・・・ 緩衝材+梱包作業+リボンをつける
- 改善後:巾着を使用 ・・・ リボンをつける
有料ラッピングの導入
「もっと豪華にラッピングしたい!」などのニーズがあるギフトECでは、コスト面で課題を抱えるEC通販事業者も少なくありません。
その場合、当社では有料ラッピングの導入をご提案しています。無料の基本ラッピングと有料の選べるラッピングを用意することで、購入者のご要望に応じて選んでいただきます。
8ギフト発送の対応ルールは明確に!
ラッピング梱包・熨斗・名入れ・メッセージカード同梱・アソート対応など、EC通販におけるギフト発送に欠かせない機能について、複雑で細やかな作業内容をご案内しました。
自社ECへギフトを導入する際には、発送の委託先と双方で、ギフト商品の対応ルールを明確に決めておくことがとても大切です。
導入後の発送トラブルを防ぐためにも、ここはしっかり時間をかけてご確認ください。
どこまで細かなギフト対応をするのか(例:商品によって梱包内容を変える,熨斗はどの用途まで対応するのか 等)、出荷指示データの連携方針など、発送代行業者との明確なルール決めが重要です。
9まとめ:適切な梱包でECサイトの満足度を上げよう!
適切な梱包は、商品を安全に届けるだけでなく、消費者の喜びや感動を引き出すことによるブランドイメージ向上・リピート率アップにもつながる重要な作業です。
通常の梱包では、コストに配慮しながら商品に合った資材を選び、無駄のない梱包を心掛けましょう。ギフトラッピングでは、受け取った人が思わず笑顔になるような、特別感のある対応ができる準備をしておくことがおすすめです。
当社では、これまでの実績をもとに、贈り手の気持ちが伝わるラッピング対応から、現在の梱包作業改善まで、幅広くご相談をお受けしてサポートいたします。梱包について少しでもお困り事がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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