EC通販において、初めてのショップで商品を購入したとき、開封時に心のこもったメッセージカードが目に入るか、無機質な納品書だけが入っているかで、消費者の印象は大きく異なります。一般的には、前者のメッセージのほうが、消費者の心をつかむ可能性は高いでしょう。
リピート率が低調であったり、解約率が高い場合は、商品と一緒に送る「同梱物」を工夫すれば、課題解決の糸口になるかもしれません。
本記事では、同梱物の重要性や役割、メリットについて解説します。併せて、代表的な同梱物の種類や、活用時の注意点と具体例などについても紹介します。
目次
物流アウトソーシングの
検討時期やポイントを解説!
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1通販の同梱物とは
同梱物は、EC通販で商品を購入した際、商品とともに梱包される印刷物や広告物、サンプルなどのことです。
メインの商品と一緒に別のものを入れるという点では、1通の封書にクーポンとお礼状といった別々のものを一緒に入れる「同封」とほぼ同義ですが「同梱」は段ボールや小包など比較的大きな荷物に別のものを入れて送る際に使われます。
2通販の同梱物が重要な理由
直接消費者と接する機会が少なく、新規顧客開拓が難しいEC通販において、購入した商品を開封するタイミングは顧客満足度を上げるまたとないチャンスであるため、同梱物を疎かにしてはなりません。
商品とは別に郵送されるダイレクトメールは封を開けずに捨てられることもありますが、商品と合わせて送られる同梱物は、一度は手に取る人が多いでしょう。
つまり、商品購入時の同梱物は、消費者の視界に入る可能性が高い、非常に有効なアプローチ施策なのです。
消費者の興味を引き、感動させる同梱物が入っていれば、ECサイトや運営元企業への信頼度を高め、リピート購入や継続購入につなげられる可能性が高まります。通販の同梱物を工夫することは、消費者のファン化につながる重要な施策です。
ただし「同梱すること」自体が目的になって消費者の視点を失うと、消費者の心は離れます。
「買うたびに同じパンフレットが入っている」「お礼状の中身が代わり映えしない」といったことにならないよう、消費者の印象に残るような同梱物を考えなければなりません。
3通販における同梱物の役割
EC通販において、同梱物には下記のような5つの役割があるといわれます。
いずれも、EC通販事業の成長や利益の安定化のために重要な役割です。
- リピート購入の促進
- クロスセルの促進
- VOCの獲得
- LTVの向上
- サブスクリプション型サービス解約率減少
リピート購入の促進
同梱物によって、リピート購入を促すことが可能になります。EC通販では新規顧客開拓が難しく、既存顧客の売上に対する貢献度が高くなる傾向があります。
「お礼状を同梱して感謝を伝える」「既存顧客だけの特典として新商品のサンプルをつける」などして既存顧客の好感度を高められれば、リピート購入につながるでしょう。
クロスセルの促進
クロスセルは、購入した商品に関連する商品をセットで購入してもらい、売上単価を上げる営業手法です。
消費者ごとに「購入商品」「購入頻度」「最も多い購入価格帯」などを分析し、興味が持たれそうな商品の情報を同梱することで、次回の購入額アップが狙えます。
VOCの獲得
VOC(Voice Of Customer)とは「顧客の声」のことで、商品の強みや課題、消費者ニーズの把握に不可欠です。
商品にレビュー依頼のメッセージやアンケートを同梱することで、VOCを獲得できます。
LTVの向上
LTV(Life Time Value)とは「消費者が自社にもたらしてくれる生涯価値(利益)」のことで、マーケティングで重要な指標の1つです。
同梱するチラシなどで定期購入に誘導できれば、LTVの向上を図ることができます。購入回数によって同梱する挨拶状・チラシの内容を変える、優良顧客にサプライズプレゼントを同梱するといった方法で、消費者と1対1の継続的な関係を築き、自社のファンになってもらうことが重要になります。
サブスクリプション型サービスの解約率減少
定額制のサブスクリプションモデルでは、継続率が低いと常に新規顧客を獲得し続けなければならず、収益が安定しません。
そのため、同梱物として限定クーポンやモニター商品を送付するなどして、既存顧客との関係性を深め、解約率を下げる工夫をすることが重要です。
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4同梱物のメリット
同梱物をEC通販で活用することで、主に以下3つのメリットが生じます。費用対効果の高い施策として、積極的に活用すべきといえるでしょう。
- 開封率が高い
- 別発送する場合よりもコストを抑えられる
- 購入時点の期待値を超え、さらなる満足度向上に繋がる
開封率が高い
商品を取り出すために箱を開ければ、必ず同梱物が目にとまります。開封率だけ見るとメルマガやダイレクトメールよりもずっと高く、ほぼ確実に消費者との接点を生み出せる役割があります。
別発送する場合よりもコストを抑えられる
サンプルやパンフレットを同梱すれば、送料や送付用の資材、人件費などでかかるコストを1回の発送にまとめられます。商品とは別にダイレクトメールなどを送るよりも、コストを削減できます。
購入時点の期待値を超え、さらなる満足度向上に繋がる
商品を購入する際の期待値は、商品到着時に最大化します。ワクワクした気持ちで荷物を開封したとき、商品を長く使ってもらうためのお手入れ方法を書いたカードや、ブランドストーリーを伝える小冊子が目にとまれば、熱狂的にブランドを支えてくれる優良顧客を生み出せるかもしれません。
5同梱物の種類と特徴
同梱物と一口にいっても、その種類は多岐にわたります。
代表的な例として挙げられる以下10種類については、それぞれ特徴があります。
- 挨拶状
- ブランドブック
- 使い方の解説書
- VOCの紹介
- 新商品・関連商品のサンプル
- 関連商品を勧めるチラシ・パンフレット
- 定期購入をすすめるチラシ
- クーポン券
- キャンペーン情報
- アンケート
挨拶状
挨拶状は、ブランドと出合ってくれたことや、商品購入のお礼を伝えるメッセージカードです。納品書に挨拶状が添えてあると人間味が伝わり、事務的な印象を払拭できます。
ブランドブック
ブランドブックとは、ブランドのコンセプトや、ブランドの設立エピソードなどを伝える冊子です。商品のカタログを兼ねることもあります。ブランドの特徴や、使用する人への想いを盛り込むことで、消費者の心を動かし、ブランドへの愛着を高めます。
使い方の解説書
気になる商品が届いたら、すぐに使いたいと思うのが購入者の自然な心理です。使用手順をイラストなどで説明したカードやパンフレットを同梱すれば、開封後すぐに正しく使うことができ、ブランドに対して安心感と満足感を抱きます。
VOCの紹介
実際に商品を使用している人のレビューは、商品への信頼感を高め、ほかの商品への興味を喚起します。特徴が似ている人のVOCをピックアップして同梱すると、より効果的です。
新商品・関連商品のサンプル
購買層が興味を持ちそうな新商品や関連商品のサンプルは、消費者にとっては思いがけないプレゼントです。好感度が上がり、新商品の購入につながる可能性があります。
関連商品を勧めるチラシ・パンフレット
今回購入した商品と関連性のある商品のチラシ、パンフレットを同梱すると、クロスセルにつながりやすくなります。関連性の低い商品を紹介すると押し売りのように感じられ、敬遠される恐れがあるため注意しなければなりません。
定期購入をすすめるチラシ
単品通販では、通常のEC通販よりもさらにリピート購入が重要になります。商品の良さを知っている消費者にとっても、お得に購入できる定期購入プランは魅力的です。定期購入のメリットをわかりやすく伝えるチラシを作って同梱し、興味関心を喚起しましょう。
クーポン券
既存顧客だけに提供されるクーポン券は「大切にされている」実感を与え、購買意欲を高めます。誕生日や、契約更新の節目などにクーポンを同梱しましょう。
キャンペーン情報
キャンペーン情報は、消費者の速やかな購買行動を促します。先着◯名などの「限定性」、初回のみ特別価格などの「希少性」、期限を切る「緊急性」のいずれかを強く押し出すと効果的です。
アンケート
アンケートページに飛ぶQRコード(※) が印字された用紙、返信用はがきなどを同梱すれば、VOCを集めることもできます。消費者にメリットがないと行動に結びつきにくいため「回答すれば次回使えるクーポン券送付」などの特典を合わせて用意しましょう。
6同梱物を入れる際の注意点
大きな効果を発揮する可能性がある同梱物ですが、ただ闇雲に入れたいものを入れるだけでは、逆効果になってしまう可能性もあります。
同梱物を入れる際には、下記の3点に注意しましょう。
- 同梱物を過剰に入れない
- コストがかかりすぎないようにする
- ミスの発生を防ぐ人員配置を意識する
同梱物を過剰に入れない
あまりにも多すぎる同梱物は、かえって消費者に不信感を与えます。過剰なサービスを敬遠する人もいるため、適度な量にとどめなければなりません。
コストがかかりすぎないようにする
同梱物に注力しすぎると、コストが増大して利益にマイナスの影響を及ぼします。あくまでも付随的なサービスとして、クオリティを追求しすぎないようにしてください。
ミスの発生を防ぐ人員配置を意識する
少ない人数で大量の同梱物に対応したり、出荷する商品ごとに同梱物を分けたりすると、作業が煩雑になってヒューマンエラーが起こりがちです。
同梱物の種類は期待できる効果に照らして最適な数に絞り、ミスが発生しないように発送パターン・件数に応じた適切な人員を配置する必要があります。
物流アウトソーシングの
検討時期やポイントを解説!
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7目的ごとの同梱物活用の具体例
同梱物は、目的に沿って種類を使い分けることが大切です。
目的ごとの同梱物の活用例を、以下3パターンご紹介します。
- 顧客満足度を向上させたい場合
- リピート購入を狙いたい場合
- 消費者の声が聞きたい場合
顧客満足度を向上させたい場合
顧客満足度は「特別感がある気くばり」を感じたときに高まります。企業の思いが伝わるお礼の挨拶状などは、不快に感じる人が少なく、企業への好印象につながりやすいでしょう。
ほかには、商品の使い方を解説する解説書も、商品を見ただけでは使い方がわからないという消費者の気持ちに寄り添う同梱物であるため、顧客満足度向上を狙うことができます。
リピート購入を狙いたい場合
リピート購入を促進するには、購入にあたっての最大のハードルである価格にアプローチするクーポン券や、より良い商品があることを実感してもらうサンプル商品などが最適です。
商品のラインナップを知らせるチラシやパンフレットでも、ほかの商品に興味を持ってもらうきっかけになるため、一定の効果を期待できます。
消費者の声が聞きたい場合
商品を実際に使った人の生の声を収集し、商品の改善や今後の商品開発に活かしたい場合、アンケートはがきやアンケートサイトのQRコード(※) を記載したカードなどを同梱しましょう。
漠然と感想を求めるのではなく「あったら良い機能」「今回の商品で不満な点」といったように知りたいことを設問にすると、効果的なアンケートが実施できます。
8スクロール360の同梱物事例とリピート物流
当社では長年のリピート通販物流実績とノウハウがあり、同梱物では、効果的な同梱物の分析や制作支援、物流業務と提携した効率的な運用方法などを、事業規模や成長に合わせてご提案・実施しています。それでは当社の物流サービスにおける同梱物施策・リピート通販物流、3つの特徴をご案内します。
複雑な同梱制御を可能にする「CRM物流」
EC通販事業者様からいただく「出荷指示データ」の同梱指示内容に基づき、当社の倉庫管理システム(WMS)で制御することで、個人別・商品別の同梱対応をいたします。
その対応実績は「3,000~5,000パターン」。さまざまなケースに対応した複雑な同梱制御が可能です。
チラシを同梱したい場合は、商品と同じように納品いただき当社倉庫で管理しながら発送時に商品に同梱します。
同梱の数が多い場合は、同梱物にも商品コードを付け、商品と同じように管理します。
生産性・コスト効率を追求した当社独自のノウハウで、複雑な同梱物対応を実現します。
基本的には同梱物の設計(どのような条件の場合に、どの同梱物を入れるのか)と指示データはEC通販事業者様に実施いただき、その同梱制御を実現させるのが物流センター(当社)の役割となりますが、当社の場合は、同梱物の設計段階についてのご相談も可能です。
バリアブル印刷を駆使したOne to Oneコミュニケーション
バリアブル印刷を活用した納品書(例)
販促チラシと比べて、リピート促進効果の高い納品書へのバリアブル(販促)印刷に対応します。購入商品やエリアなど、さまざまな顧客属性に基づいてパーソナライズされた情報をパターン別に印刷できるため、顧客とのよりよいコミュニケーションへとつながり、顧客満足度の向上や定期購入の促進など、個別対応型プロモーションも実現します。
必要なときに必要な量を印刷できるため無駄もありません。
リピート通販商品の保管・加工に必要な許可取得
当社では化粧品や健康食品などリピート通販商品の入出庫や保管、加工に必要となる「化粧品製造加工許可(包装・表示・保管)」や「高度医療機器・管理医療機器販売業許可」を取得。「医薬部外品製造加工」も対応可能ですので、アッセンブリ・セット加工、ラベル貼り、シュリンク包装、ロット印字なども、安心してお任せください。
9事業規模や成長に合ったコスト・施策内容を
同梱物の施策が効果的なことは分かったものの「コストがかかるのでは…」と心配な方も多いかもしれません。
当社では、EC通販事業者様の規模や成長に合わせ、コスト減や工数削減などの提案を積極的に行っています。
例えば、同梱チラシのセット組を事前に用意しておくことで、同梱物のピッキング効率が上がり、コスト削減につながります。
バリアブル印刷の導入には通常高額なコストがかかりますが、当社では自社で保有(上画像)しているためシェアしながらの使用が可能。小規模のEC通販事業者様でも気軽に活用いただけます。
物流アウトソーシングの
検討時期やポイントを解説!
※委託先選定チェックリスト付き
10顧客心理を深く知るためのお手伝いも
また「そもそも、自社商品にどんな同梱物をつけたら良いのか分からない」という方には、当社は提案も行っています。
初めて商品を購入し使用を始めた購入者が「何に困っているのか」「どんな情報を必要としているのか」更には「なぜ解約・離脱するのか」などの重要な心理状態を正確に把握しきれていないEC通販事業者も少なくありません。しかしそうした顧客心理の理解なくして同梱物を制作しても読まれることはなく、かけたコストは無駄となってしまいます。
まずは顧客心理をつかみましょう。その第一歩となるのが、グループインタビュー。対象者に質問し、自由に発言してもらうことでさまざまな意見、情報を収集する調査手法で、プロフィールや購買行動、自社および他社のECサイトの評価など、EC通販に関する購買心理を深くヒアリングするものです。
参加者同士が議論することでより多くの意見を収集できるメリットもあり、非常に効果的な手法で当社は代行を行っています。
11まとめ:通販の同梱物を工夫して、LTVを向上させよう
EC通販における同梱物は、消費者との重要な接点です。同梱物をうまく活用すれば、熱心なファンを獲得してリピートにつなげ、事業成長を実現できるでしょう。
同梱物の施策を強化するなら、物流のプロに相談することもおすすめです。同梱物施策で少しでも困り事がありましたら、ぜひスクロール360にご相談ください。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
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