物流で使われるパレットとは、荷物を載せる時に使う荷役台のことです。貨物を保管・輸送するトラックやコンテナ、倉庫、工場などで使います。
国土交通省では物流の労働環境や2024年問題の改善に向け、パレット規格の標準化の検討が進められており、パレット化が可能な貨物輸送において、手荷役作業がなくなるとコストは現状より16%、作業時間は32%が削減可能としています。
本記事では、パレットの種類や形状からパレットパターン、利用する際の注意点を解説します。
パレット輸送を検討されている方は、ぜひご参考ください。
目次
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1パレットとは
パレット(Pallet)とは、貨物を載せる時に使う荷役台のことです。
一般社団法人日本パレット協会によると、2022年度のパレットの出荷額は前年度比で13.0%増加し、2年連続で増加傾向です。
近年、物流ではパレット輸送が増え、需要も高まっています。
2パレットの種類
パレットの主な種類は以下の4つです。
パレットの種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
木製パレット | ・価格が安い ・貨物が滑りにくい |
・虫が発生するリスクがある ・木のささくれで貨物が破損する場合もある |
プラスチックパレット | ・衛生的 ・再利用しやすい |
・貨物が滑りやすい |
ダンボールパレット | ・価格が安い ・リサイクル面に優れる |
・繰り返しの利用は難しい ・重量物は向いていない |
金属パレット | ・耐久性に優れる ・繰り返し利用できる |
・重い |
なお、一般社団法人日本パレット協会によると、2022年度の国内パレット出荷額は木製パレットとプラスチックパレットが約82%を占めています。
木製パレット
木製パレットは、価格が安いことや載せた貨物が滑りにくい特長があります。
長期間の繰り返し利用で虫が発生する可能性があることや、木のささくれにより、袋状の貨物を傷つけてしまうため、一般的に食品の輸送には向きません。
木製パレットを繰り返し使うには、定期的なメンテナンスや入れ替えの管理が必要です。
プラスチックパレット
プラスチックパレットは、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)で作られたパレットで、洗って再利用できるため衛生的です。
木製パレットに比べると軽く、軽さと強度の両方を実現していますが、貨物が滑りやすい点には注意が必要です。
移動時はラップを巻いて貨物を固定し、貨物がパレットから滑り落ちないように注意しましょう。
ダンボールパレット
ダンボールパレットは、価格が安く、リサイクル面に優れているメリットがあります。
一方でダンボールという素材の性質上、繰り返しの利用や、重量物の輸送には向いていません。軽い貨物や、使い切りの輸送に適しています。
金属パレット
金属パレットは耐久性に優れ、繰り返し利用できます。工業製品や農作物など、汚れが気になる貨物にも使うことが可能です。木製やプラスチックに比べ、パレット自体の重量は重くなります。
3パレットの形状
パレットの形状は以下の7種類です。
- 平パレット
- ボックスパレット
- ロールボックスパレット
- ポストパレット
- シートパレット
- サイロパレット
- タンクパレット
平パレット
平パレットとは、上部の構造物がなく、フォークリフトの差し込み口があるパレットです。木製やプラスチック、ダンボール、金属など種類が豊富です。ダンボールといったケース単位の貨物を載せる際に使われます。
ボックスパレット
ボックスパレットとは、3面か4面の側板が取り付けられたパレットです。パレットそのものがケースになっており、蓋付きのタイプも存在します。主に袋入りの野菜や金属線、金属片などに使われます。単体で積み上げることが難しい貨物は、ボックスパレットが最適です。
ロールボックスパレット
ロールボックスパレットとは、車輪付きのボックスパレットです。現場では「カゴ車」「カゴ台車」と呼ばれることもあります。フォークリフトを使わずに荷物を入れて移動できるのがメリットで、配送センターやスーパーの納品で使われます。
ポストパレット
ポストパレットは、支柱があるパレットです。ポストパレットと似ているものとして、倉庫で商品を保管する際に使用するネステナーがあります。貨物を直接積載できることや、トラックに直接積み込み可能な点がネステナーとの違いです。
シートパレット
シートパレットとは、ダンボールや紙、樹脂製の薄いシートで作られたパレットです。シートパレットを使用するには、フォークリフトに「プッシュプル」と呼ばれるアタッチメントを別途装着することが必要です。
サイロパレット
サイロパレットとは、主に粉状の貨物を入れて運ぶためのパレットです。下部に開閉装置があり、上から粉状の貨物を挿入し、下部の開閉装置を開けて貨物を取り出します。
タンクパレット
タンクパレットとは、液体を運ぶためのパレットです。上部もしくは下部に出し入れ口があります。
4パレットのサイズと規格
パレットには多様なサイズと規格が存在します。国内・海外で流通しているパレットのサイズと、パレット標準化に向けた規格についての取り組みを紹介します。
- サイズ:国内で流通しているパレット
- サイズ:海外で流通しているパレット
- 規格:パレット標準化に向けた取り組み
サイズ:国内で流通しているパレット
日本国内で流通しているパレットには、用途や貨物の特徴により様々なサイズがありますが、主なものは以下の5種類です。
<日本国内で流通している主なパレットサイズ>
- 1,400 × 1,100
- 1,300 × 1,100
- 1,200 × 1,000
- 1,100 × 1,100
- 1,100 × 900
サイズ:海外で流通しているパレット
海外で流通しているパレットサイズと、主に使われている地域は以下の通りです。
パレットサイズ | 流通している地域 |
---|---|
1,200 × 800 | ヨーロッパ |
1,200 × 1,000 | ヨーロッパ、アジア |
1,219 × 1,016 | 北米 |
1,067 × 1,067 | 北米 |
1,100 × 1,100 | アジア |
規格:パレット標準化に向けた取り組み
日本国内にはJIS規格におけるパレットの標準サイズが存在します。最も使われているのが1,100 × 1,100 × 144のT11型である「一貫輸送用平パレット」です。
このT11型のJIS規格パレットは、国内パレットの全生産数量中約32%、JIS規格のサイズ中では66%使われています。現在、日本には様々なパレットのサイズや規格が存在しますが、国土交通省によりT11型のJIS規格にて標準化の取り組みが行われています。
アジアでは、2006年にアジアパレットプールシステム連盟(APSF)という組織が設立されました。アジア全体でのパレットの普及を推進し、アジアにおけるパレットの標準規格を定めています。
5貨物の積み方(パレットパターン)の種類
貨物の特徴に合わせて適切なパレットパターンで積み付けを行うと、荷崩れの防止や、作業効率を上げる効果があります。
パレットパターンの種類は以下の7つです。
パレットパターンの種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ブロック積み | ・貨物を早く積める | ・横向きの力に弱い ・移動中に貨物が荷崩れしやすい |
交互列積み | ・貨物が荷崩れしにくい ・積み付けが容易 |
・限られたサイズの貨物のみ利用できる |
ピンホール積み | ・一定の温度を保てる | ・パレットの積載効率が下がる |
ダブルピンホール積み | ・積載効率が高い ・貨物が荷崩れしにくい |
・積み方が難しい ・積み付けに時間がかかる |
レンガ積み | ・積み付けが容易 ・貨物が荷崩れしにくい |
・限られたサイズの貨物のみ利用できる |
窓積み | ・検品がしやすい | ・貨物の方向を気にして積み付ける必要がある |
スプリット積み | ・積み付けが容易 | ・積み方に注意が必要 |
ブロック積み
ブロック積みは、貨物を同じ方向に積む方法で、早く積むことができます。一方で同じ方向に力が集中してしまうため、横向きの力に弱く、移動中に荷崩れが発生する可能性もあります。
交互列積み
交互列積みは、一段ずつ90度向きを変えて積む方法です。一段ずつ向きを変えるため、積み付けが簡単であり、貨物が荷崩れしにくいことが特徴です。
しかし、一段に並べた時に全体が正方形になるような貨物のサイズでなければ、この交互列積みは使えません。交互列積みは限られたサイズの貨物のみに利用可能です。
ピンホール積み
ピンボール積みは、貨物を時計回り、もしくは半時計回りの形で縦横に組み合わせて積む方法です。ピンホール積みは冷蔵や冷凍貨物で使われる傾向です。真ん中が空洞となり、風の通り道ができるため一定の温度を保つのに適していますが、パレットの積載効率が下がってしまうことが欠点です。
ダブルピンホール積み
ダブルピンホール積みは、1段の中に中央の隙間部分(ピンホール)を2つ作る方法です。
特殊な積み方のため、あまり現場では使われませんが、積載効率が高く荷崩れしにくいことが特徴です。一方で、積み付けが複雑なため荷役に時間がかかります。
レンガ積み
レンガ積みとは、1つの段の中で貨物の縦と横の向きを変えて積む方法です。1段ずつ貨物の向きを180度反対にして積み上げます。積み付けが簡単であり、荷崩れしにくいことが特徴ですが、貨物のサイズがレンガ積みに適したものでなければなりません。
窓積み
窓積みとは、レンガ積みの縦の列を1列増やして積む方法です。ラベルが全て外を向くように積み付けができるため、検品をしやすいメリットがあります。窓積みを行う際は、貨物の方向を気にして積み付けることが必要です。
スプリット積み
スプリット積みとは、レンガ積みを行った際に横向きの部分に隙間(スプリット)ができる積み方です。積み付けは簡単ですが、荷崩れを起こさないよう積み方に注意が必要です。
隙間ができる場合は、上の段に貨物を積んだ際に外側の支えがなくなるため、必ずパレットの内側に隙間を作ります。
◯回し◯段積み
〇回し〇段積みとは、1段ごとに荷物を何個置き、それを何段重ねるかを示す方法です。現場ではこのように積み方を指示される場合があり、5回し2段積みの場合は、レンガ積みのように1段に5つ貨物を置き、同じ向きで2段重ねた後に向きを変えます。
6パレットを利用する目的
パレットを利用する目的は、作業効率の改善と作業負荷の軽減です。貨物をパレットに積載すると、荷役や保管、輸送の時間が短縮され、作業効率が上がります。
パレットでの荷役時間は、手荷役と比べて1/3〜1/4とされているため、大幅な時間短縮が可能です。
一般社団法人日本パレット協会によると、手荷役の作業時間が平均90〜120分のところ、パレット荷役では平均30分とされています。
2024年4月からは、働き方改革関連法によるトラックドライバーの罰則付き時間外労働の規制の運用も控えているため、荷役時間の短縮は時間外労働の規制に対しての対策にもなります。
7パレットを利用する際の注意点
【パレットを利用する際の注意点】
- 輸送時の積載効率の低下
- 輸送時に緩衝材が必要
- パレットの運用・管理コストの発生
パレットを利用すると、積載効率が低下するケースがあります。
たとえば、プラスチックの平パレット1つを20kgと換算して、トラックに8パレット積むと、160kg分の貨物が積めません。対策としては、平パレットよりも軽いシートパレットの活用が考えられます。
また、一般的にトラックにおけるパレット輸送の際はパレット間に隙間ができるため、荷物が動かないよう隙間を埋める緩衝材が必要です。さらに、倉庫ではパレットの数を管理する棚卸しや保管スペースが必要です。そのためコスト削減の対策として、レンタルパレットを利用する方法もあります。
8まとめ:パレット輸送も輸送手段の1つ
パレットとは、貨物を載せる際に使われる荷役台のことで、貨物に適したパレットの種類、形状を採用することで、効率的な輸送や荷役が実現できることがわかりました。
一方で、パレットを利用することで、従来よりも輸送時の積載効率が低下するケースもあります。輸送時に緩衝材が必要となることや、パレットの運用や管理コストの発生にも注意が必要です。
輸送手段の1つであるパレット輸送のメリット・デメリットをしっかり理解したうえで、導入の検討をしてみてください。
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