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プロセスセンター(PC)とは?メリット・デメリットや導入事例を解説

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プロセスセンター(PC)とは?メリット・デメリット

プロセスセンター(PC)とは、店舗や納品先の要望やニーズに応じて流通加工を行う、物流センターの一種です。商品を小売店に並べやすくしたり、魅力的に見えるように加工を施したりする役割を担っています。

本記事では、プロセスセンター(PC)の概要やメリット・デメリットを紹介すると共に、インストア方式との違いや事例を解説していますので、ぜひご参考ください。

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プロセスセンター(PC)とは

プロセスセンター(PC)とは、最終納品先(小売店・商店)の希望に合わせて商品を加工する物流センターのことで、具体的には以下のような商品を扱います。

商品 加工(イメージ)
  • 生鮮食品
  • 加工食品
  • 衣料品
  • 日用雑貨
  • 木材

一般的に言われるプロセスセンター(PC)は、スーパーマーケットに並ぶ生鮮食品の加工工程を指すことが多く、外食産業においては「セントラルキッチン」と呼ばれることもあります。

プロセスセンター(PC)を導入する企業が多い理由

プロセスセンター(PC)は、商品の大量生産と品質維持を両立できるため、大手企業の商品加工では多数導入されています。特に、スーパーマーケット業界の大手チェーンは、プロセスセンター(PC)を活用して生鮮食品を加工・提供しているケースが大半を占めています。

日本の企業がプロセスセンター(PC)を導入し始めたのは、1980~90年代です。スーパーマーケットの大手チェーン企業を中心に導入が進み、次第に店舗で直接食品を加工するインストア方式と派閥を形成していきました。

プロセスセンター(PC)以外の物流センター

プロセスセンター(PC)以外の物流センターについて一部ご紹介します。それぞれ役割や特徴、活用するメリットが異なります。

物流センター 特徴
ディストリビューションセンター(DC)在庫型センターとも呼ばれ、従来の物流倉庫に近い役割を担う物流センター。保管スペースや棚、荷物を積み込む設備などがあり、在庫管理や仕分けに特化している点が特徴。
トランスファーセンター(TC)在庫を持たず商品の仕分けや積み替え、発送を行う物流センター。在庫管理や保管コストがかからず、配送効率や配送品質の向上を見込める点が特徴。
フルフィルメントセンター(FC)EC通販事業の受注から配送までを一括代行する物流センター。物流業務だけでなく顧客対応なども行う点が特徴。
デポエリア単位に配置された小規模の物流拠点。多くの在庫を持たず、商品を届ける最後の区間配送(ラストワンマイル)を担う。
配送センター決められたエリアに商品を配送するための拠点。店舗やエンドユーザーに直接商品を届ける役割を果たす。

プロセスセンター(PC)のメリット

プロセスセンター(PC)を導入するメリットは、以下の3つです。

プロセスセンター メリット(イメージ)
  • 生産効率を高めることができる
  • 一定品質の商品を大量に生産できる
  • 魅力的で利便性の高い商品を生産できる

生産効率を高めることができる

プロセスセンター(PC)の導入により、一括集中による生産効率化が実現できます。

機械化によって作業の自動化もできるため、大量の商品を一度に加工できるだけでなく、人手不足の課題解決にもつながります。また、店内に商品加工スタッフの配置が不要になるため、人件費などの削減効果が期待できます。

一定品質の商品を大量に生産できる

小売店側で加工を行うと、作業者の技術レベルによって品質にばらつきが出ますが、プロセスセンター(PC)を導入することで品質の統一が可能です。安定した品質の商品を大量生産できるだけでなく、品質の評価基準をクリアしやすくなるのもメリットです。

特に、スーパーマーケットなどの食品小売店では、プロセスセンター(PC)の導入により衛生面の対策が可能です。人の手を介さない加工を施すことで、安全な食品を扱っていると印象付けられるためです。

過去には調理工程を消費者に見せることで安心感を与えるため、インストア方式を採用している店舗もありましたが、感染症拡大の影響により、プロセスセンター(PC)の需要が高まっているのが現状です。

魅力的で利便性の高い商品を生産できる

プロセスセンター(PC)では多種多様な商品の加工が可能になるため、商品の魅力や利便性など、付加価値を高めることができるようになります。さらに、一度に陳列する商品の種類を増やすことができるため、顧客の需要にも応えやすくなります。

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プロセスセンター(PC)のデメリット

プロセスセンター(PC)を自社で導入するデメリットは、以下の3つです。

プロセスセンター デメリット(イメージ)
  • 高額な設備投資が必要
  • 人員の確保が必要
  • 商品の品質・鮮度が落ちることがある

高額な設備投資が必要

プロセスセンター(PC)を自社で保有する場合、施設や機械のリース費用、人件費などの確保が必要です。店舗の数や加工商品の数が少ないと、初期投資した費用を回収できずに損失が出るリスクも考えられます。事前に資金計画を練り、計画的に導入しましょう。

自社導入が難しい場合は、アウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか。

人員の確保が必要

商品加工や輸送などを行う人材を新たに採用するか、今の人材の中で配置変更が必要になります。採用や教育にはさまざまなコストがかかるため、自社導入は計画的に行いましょう。

また、プロセスセンター(PC)内で働く人数を固定してしまうと、急な需要変化で生じる物流波動への対応が難しくなります。場合によっては、インストア方式を採用したほうがメリットがある可能性もありますので、需要変化が激しい商品を扱う場合は、プロセスセンター(PC)の自社導入は慎重に検討しましょう。

商品の品質・鮮度が落ちることがある

プロセスセンター(PC)で加工された商品は、小売店に並ぶまで時間がかかるため、商品の品質や鮮度に影響します。特に生鮮食品の場合は、味が落ちるリスクも見逃せません。

加工から配達まではおよそ1日かかるため、その分、消費期限が短くなります。天候や需要変化、競争環境などの状況によっては、廃棄や値引きロスも増えるため、インストア方式を採用したほうがメリットがあるケースもあります。

プロセスセンター(PC)とインストアの違い

インストア方式とは、店舗内で商品を加工する方法で、プロセスセンター(PC)とは主に以下の3つが異なります。

食品 加工(イメージ)
  • 品質の特性
  • 需要変化への対応力
  • コスト

品質の特性

プロセスセンター(PC)で商品を加工・配送・陳列するまではおよそ1日かかりますが、その場で加工するインストア方式では、加工してすぐに商品を陳列できる点が異なります。

インストア方式では、小売店のバックヤードに加工エリアを設ける必要があるため、十分なスペースとスタッフの準備が必要です。

また近年では、低温物流の進化やプロセスセンター(PC)の夜間稼働により、配送・陳列までの時間が短縮され、品質や鮮度も確保できるようになっています。

需要変化への対応力

プロセスセンター(PC)での一括集中加工は、品質の安定した商品を大量に送り出すことに適していますが、需要変化への柔軟な対応力は低い点が特徴です。

一方でインストア方式では小売店側で入荷量を調節できるため、需要変化に対応しやすくなります。ただし、対応するスタッフへの負担が増えるため、柔軟な対応をする際には運用マニュアルや体制を整えておく必要があります。

コスト

プロセスセンター(PC)とインストア方式では、以下のように必要コストが異なります。

導入方式 初期投資 小売店運営コスト (人件費・バックヤード 等)
プロセスセンター(PC) 高い 低い
インストア 低い 高い

プロセスセンター(PC)は大規模な設備や人員を準備する都合上、初期投資のコストは高くなりますが、小売店側のコストが低いため、長期的に考えるとプラスになる可能性もあります。

一方でインストア方式は初期投資のコストが低く、小売店側のコスト負担が大きいことが特徴です。高額の初期投資が可能ならプロセスセンター(PC)、難しい場合はインストア方式を採用するなどの検討も必要です。

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プロセスセンター(PC)の導入事例

実際にプロセスセンター(PC)を活用している企業の事例を、3つ紹介します。

プロセスセンター 事例(イメージ)
  • イオンフードサプライ株式会社
  • さとうグループ
  • 株式会社セントラルフーズ

イオンフードサプライ株式会社

大手スーパーマーケットチェーンのイオングループは、全国各地にプロセスセンター(PC)を保有し、全国のイオン・マックスバリュ等の小売店に加工食品を発送しています。

イオングループのプロセスセンター(PC)を運営しているのは、グループ会社のイオンフードサプライ株式会社です。食品の加工をすべてアウトソーシングすることで、小売店側の人件費を削減しています。

さとうグループ

さとうグループは京都府に本社を構える流通サービス企業で、精肉部門においてプロセスセンター(PC)を活用しています。自社のプロセスセンター(PC)で加工した高級冷凍牛肉をオリジナルブランドとして販売したところ、保存の利く美味しい牛肉として人気になりました。

牛肉以外の商品でも、食品工場やプロセスセンター(PC)を活用して、独自商品を販売しています。現在は生鮮食品・冷凍食品・パン類などを加工するプロセスセンター(PC)も稼働しています。

株式会社セントラルフーズ

株式会社セントラルフーズのプロセスセンター(PC)は、小売店や消費者の要望に応え、少量多品種の商品展開を成功させた事例があります。

本来は統一した商品を大量生産するプロセスセンター(PC)ですが、同社の場合は小売店が売りたいもの・必要なものを提供するため、機械化による生産性向上を行いました。
結果として、少量多品種の商品展開に成功したうえ、スタッフの教育時間が短くなるという副次効果も出ています。

まとめ:プロセスセンター(PC)を活用し生産効率を上げよう

プロセスセンター(PC)は、店舗や納品先の要望やニーズに応じて流通加工を行う物流センターの一種で、安全で安定した品質の商品を広く流通させ、小売店側の運営をスムーズにする役割を担います。

自社導入が難しいと感じた際は、プロセスセンター(PC)をアウトソーシングすることも1つの方法です。本記事をお読みいただき、導入の検討にお役立てください。

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