ミルクラン方式とは、商品の発注側が車両を用意して各サプライヤー(配送元)を巡回する集荷方式であり、1台のトラックでまとめて集荷することによって配送コストを削減できる点が特徴です。
本記事ではミルクラン方式のメリットやデメリット、効果的に導入する方法を解説します。
集荷に課題をお持ちの担当スタッフはぜひご参考ください。
目次
物流業界の2024年問題で、
EC通販事業者がすべき3つの対策とは?
1ミルクラン方式とは?
ミルクラン方式とは、商品を発注する側が車両を用意して、複数のサプライヤーを巡回して集荷する方式であり、巡回集荷とも呼ばれています。
ミルクランの由来は、牛乳メーカーが効率的に生乳を集荷するために、取引先の酪農家を巡回して集荷したことであると言われています。
集荷方式にはミルクラン方式のほかに、かんばん方式があり、それぞれ以下の特徴があります。
集荷方式 | 特徴 | 適したケース |
---|---|---|
ミルクラン方式 | 発注側が車両を用意して各サプライヤーへ巡回して商品を集荷する | サプライヤー1社あたりの納品量が少ない場合 |
かんばん方式 | サプライヤー側が商品を配送・納品する | サプライヤー1社あたりの納品量が多い場合 |
2ミルクラン方式のメリット
ミルクラン方式には以下の3つのメリットがあります。
- 配送・検品コストを削減できる
- コストを把握しやすくなる
- トラックの台数を削減できる
配送・検品コストを削減できる
ミルクラン方式を導入することによって、1台のトラックで各サプライヤーから商品を集荷できるため、各サプライヤーに支払う配送コストを削減することができます。また、検品作業も一度で済むため、今まで入荷ごとに発生していた検品の作業コストも削減できます。
コストを把握しやすくなる
ミルクラン方式では配送費を発注者(自社)自身が負担するため、商品にかかるコストを正確に把握することが可能です。
集荷方式 | 配送コスト | 特徴 |
---|---|---|
ミルクラン方式 | 発注者側が負担 | 配送コストと商品コストを把握しやすい |
かんばん方式 | サプライヤー側が負担 | (サプライヤー側から)配送コストと商品コストが合算して請求されるため、内訳を把握しにくい |
トラックの台数を削減できる
ミルクラン方式を導入することによって、配送に利用するトラックの台数が減るため、物流センターでの渋滞・事故のリスクも減り、スムーズかつ安全に集荷作業をすることが可能です。また、トラックの台数が減ることで、CO2排出量を抑えるなど、環境保全にも繋がります。
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3ミルクラン方式のデメリット
ミルクラン方式には以下の3つのデメリットもあります。
- 集荷のスケジューリングが難しい
- 配送費が高くなるケースがある
- サプライヤーが大型トラックに対応して
いないケースがある
集荷のスケジューリングが難しい
ミルクラン方式を導入する場合、限られた時間で集荷作業を行う必要があるため、スケジューリングが難しくなります。トラックのドライバーは各サプライヤーを効率的に巡回するための適切なルートを探して運転しなければなりません。
また、渋滞などで指定時刻に間に合わない場合の対応について、各サプライヤーと事前にすり合わせておくことが大切です。
配送費が高くなるケースがある
各サプライヤーの集荷場所が離れている場合は、配送費が高くなります。巡回するサプライヤーのなかで1箇所でも離れた場所にあると、その分の配送距離も長くなるため、集荷に時間がかかるだけでなくドライバーの人件費や燃料費も追加で発生します。
また、配送量が多く1台のトラックで対応ができない場合、複数の車両を用意しなければならないため、ミルクラン方式のメリットが発揮できなくなるため注意が必要です。
このような場合は、かんばん方式の導入を検討することをおすすめします。
サプライヤーが大型トラックに対応していないケースがある
敷地面積が狭く大型トラックに対応していないサプライヤーの場合は、小型車両で集荷する必要があるため、多くの商品を積載できません。ミルクラン方式の導入を検討している場合は、事前にサプライヤーが大型トラックに対応しているか確認を取りましょう。
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4ミルクラン方式を効果的に導入する方法
ミルクラン方式を効果的に導入する方法には以下の3つがあります。
- サプライヤーと集荷ルールを設定する
- サプライヤー側の出荷作業を効率化する
- 配送管理システムを導入する
サプライヤーと集荷ルールを設定する
まず、各サプライヤーと事前に集荷場所や時間帯、商品数、渋滞に巻き込まれた場合の対応などについて入念に話し合うことが大切です。
また、今まで利用していた配送業者がどのように集荷・配送していたのかを、各サプライヤーから共有してもらうことによって、効率的な集荷ルールを設定することができます。各サプライヤーと集荷に関するルールを定めて、双方にメリットがある集荷体制を作りましょう。
サプライヤー側の出荷作業を効率化する
サプライヤー側で出荷遅延が発生した場合、ドライバーはサプライヤーの倉庫で積荷完了まで待機することになるため、次のサプライヤーへの到着時刻に間に合わない可能性があります。
そのようなケースを防ぐために、サプライヤー側の出荷作業を効率化することが必要ですが、以下のような改善をすることがポイントです。
- 出荷業務フローの作成
- 作業スタッフの確保
- マテハン機器の導入
- 適切な在庫管理
配送管理システムを導入する
配送管理システム(TMS)を活用することで、各サプライヤーの倉庫への最適ルートを提案してくれるため、ミルクラン方式を効果的に導入することができるようになります。
配送管理システムに搭載されている主な機能は以下のとおりです。
機能 | 特徴 |
---|---|
配送計画を立てる | 「どの車両でどのサプライヤーを回るか」「どのルートを通るか」 といった、配送計画を策定する |
進捗管理をする | ドライバーの配送状況を管理し、事故や渋滞に巻き込まれた場合に、 配送計画を修正する |
運輸管理をする | 集荷にかかるコストを管理し、運賃計算や請求・入金管理を行う |
特に、ドライバーやサプライヤーが多い場合は、配送管理システムの検討をおすすめします。
5まとめ:ミルクラン方式の導入で集荷作業の効率化を
ミルクラン方式とは、商品を発注する側が車両を用意して各サプライヤーを巡回して集荷する方式です。1台のトラックでまとめて集荷することによって配送コストを削減できる点や、物流センターでの渋滞・事故の発生を軽減できる点がメリットです。
ミルクラン方式の導入に関わらず、効率的な出荷作業や配送コストの削減など、物流に関するお悩みをお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
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